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2025.07.02 09:30

戦時大統領ゼレンスキーに学ぶ、「危機下のリーダー」7つの心得

国の存亡がかかった厳しい戦いのなかでリーダシップを試され、鍛えられてきたウクライナのゼレンスキー大統領(Maxym Marusenko/NurPhoto via Getty Images)

国の存亡がかかった厳しい戦いのなかでリーダシップを試され、鍛えられてきたウクライナのゼレンスキー大統領(Maxym Marusenko/NurPhoto via Getty Images)

2022年にロシアの全面侵攻が始まって以来、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領のリーダーシップスキルはいくどとなく試されてきた。ウクライナの歴史におけるこの困難で緊迫した時期に彼がどのように国を導いてきたかは、企業の幹部にとっても、危機に際してのリーダーシップのとり方について重要な教訓を与えるものになっている。

「ゼレンスキーはたんにウクライナを団結させてきただけではありません。彼はレジリエンス(強靭性)、明確さ、迅速な道徳的判断に基づくリーダーシップの原型を築きました」。政治リスク評価や地政学的分析を手がけるスキャラブ・ライジング社のアイリーナ・ツッカーマン社長はそう説明する。「これは戦時に適したモデルというにとどまらず(中略)、混沌のなかで指導していくための新たな基準になるものです」

優先順位をつける

ゼレンスキーがこの戦争の初期に発揮したリーダーシップから引き出せる教訓のひとつは、危機が発生した際に適切な優先順位をつけることの重要性である。CNNなどが伝えているところによれば、ロシアの攻撃が始まった直後、ゼレンスキーは、首都キーウからの退避を支援するという米国の申し出を断った。彼は代わりに米国側にこう伝えたという。「戦いはここで行われています。わたしが必要としているのは弾薬であり、退避のための手段ではありません」

誤りを正す

危機管理の観点でゼレンスキーから学べるもうひとつの教訓は、危機に関する事実が誰かによって歪められたときに、それを正していくべきだということだ。米公共ラジオのNPRなどによれば、ゼレンスキーは、自身が兵士たちに対して武器を置いてロシア側に投降するよう呼びかけるように作成されたディープフェイク動画が出回った時に、こうした対応をとっている。ゼレンスキーはこの偽情報に対抗するため「フェイクを信じないで」と題する動画を投稿し、そのなかでこう語りかけた。「わたしはここにいます。わたしたちは武器を置いたりなどしませんし、国を守っていきます。わたしたちの武器こそ真実であり、わたしたちの真実とは、ここがわたしたちの土地であり、国であり、子どもたちだということ、そしてそれらをすべて守っていくことです」

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翻訳・編集=江戸伸禎

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