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2025.07.02 09:30

戦時大統領ゼレンスキーに学ぶ、「危機下のリーダー」7つの心得

国の存亡がかかった厳しい戦いのなかでリーダシップを試され、鍛えられてきたウクライナのゼレンスキー大統領(Maxym Marusenko/NurPhoto via Getty Images)

「見える」存在になる

国であれ企業であれ、危機の最中には、リーダーが姿を見せ、声を届けることも大切だ。ゼレンスキーはさまざまな場でロシアの侵攻についてみずからの立場から説明し、それが世界中でニュースのヘッドラインになってきた。米議会の上下両院合同会議で行った演説もその一例だ。

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ツッカーマンは、ゼレンスキーのリーダーシップは「見えること(visibility)に根ざしている」と解説する。「(国の)存亡がかかった危機に際して、彼は自身をいつどこにでもいる存在にしました。指令室や水面下の交渉ルートなどに閉じこもらず、いたるところで自分の姿を国民や世界の人々に見せてきたわけです。作業着姿で、時には街頭に立ち、時には廃墟に現れました。こうした“見える存在”であること自体が、一種の力になりました。混乱のなかで舵をとるビジネスリーダーにとって教訓は明確です。自分はいまここにいると示すこと、それが大事なのです。動きが鈍いと信頼を損なっていくでしょう。逆に、姿を見せるようにすれば、信頼を築いていくことができます」

適応する

戦争や企業の危機では、状況が目まぐるしく変わることも少なくない。そのため政治家や企業幹部にとっては、事態が悪化する前に状況に適応し、適切に対応することが、危機管理のベストプラクティスになる。

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ゼレンスキーは戦場や外交の状況に応じて戦略や戦術を変更することをためらわない。ロシア領内深くで6月、ドローン(無人機)を用いてロシア軍の複数の軍用機を破壊した奇襲攻撃もその一例に数えられる。ロイター通信はこう伝えている。「この攻撃はイスタンブールで予定されていた交戦国同士の第2回和平交渉の前夜に決行され、大きな注目を集める力の誇示になった。ロシア軍の航空基地少なくとも4カ所が攻撃対象となり、そのうちウクライナから最も遠いシベリアのイルクーツク州にあるベラヤ基地はキーウから約4850キロ離れている」

ツッカーマンは「ビジネス用語で言えば(ゼレンスキーは)“方針転換を学んだCEO(最高経営責任者)”と呼べるでしょう。ただ、その方針転換の理由はマーケットの変化などではなく、建物が文字どおり燃えているからです。臨機応変な対応は、彼の任務の効果を弱めるどころか、いっそう強めています」

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翻訳・編集=江戸伸禎

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