上半身を「面」で冷やすShiftallのチラーX
VRヘッドセットやフルトラック・モーションキャプチャー機器など、革新的なウェアラブルデバイスを数多く展開してきた国内ベンチャーのShiftall(シフトール)も、今年の8月上旬に「ChillerX(チラーX)」という新しい「水冷ウェア」を発売する。価格は税込3万9990円。
本機は袖なしベストスタイルのクーリングガジェットだ。別筐体のラジエーター(チラーXの本体)との間を専用のケーブルで接続して使う。電源は一般的なUSB Type-Cのモバイルバッテリーが使える。
上半身を背中から胸部まで包み込むようにデザインされたベストの内側に、冷たい水を循環させることによって身体を冷やす。冷却水を冷やし続けるため、ラジエーターの中に2基のペルチェ素子を搭載している。ペルチェ素子のクーリングはラジエーターに内蔵する大型のファンで冷やす仕組みだ。
本機の大きな特徴は、レオンポケットやコモドギアのように首もとを「点で冷やす」のではなく、ベストを着込んだ上半身を「面で冷やせる」ことだ。シフトールは外部温度に対して最大マイナス35度の冷却パワーを備えていると説明している。筆者も実機を体験してみたが、胸元のほか、体温を下げるために効果的と言われる脇の下にアプローチができるので、かなり涼しく感じられた。気温が35度、湿度は80%を超える屋外でも身体のほてりが収まった。
ベストはナイロン素材を基調としており、固定されたストラップを使えばタイトに身に着けられる。ベストは水洗いも可能だ。
背中の下側、腰のあたりにラジエーターを身に着ける。全体で質量が1.6kg前後あるが、正しく身に着けていたためか重さは感じなかった。ただ、選ぶモバイルバッテリーの容量や形状によってはバッテリーパックの重さが気になるかもしれない。
冷却効果を最大化するための基本的なスタイルとしては、薄めのシャツの上にチラーXを装着する。その上から作業着を羽織っても良いが、空冷ファンを内蔵するラジエーターの排気口・吸気口を塞がずに使う必要がある。メーカー別売の専用アイテムとして提供する延長用の水注入ホースに付け替えれば、水冷ベストとラジエーターとの位置関係を変更できる。利用可能なシーンが増えるはずだ。ただし、ルックスやファンノイズのことを考えれば、ビジネスパーソンが通勤時に、またはオフィスでふだん使いするアイテムというよりは、農作業や屋外での軽作業、もしくは自転車に乗ったり、サバイバルゲーム時などアウトドアユースを前提にした方が良さそうだ。そして本機は「冷却専用」のデバイスであることも考慮に入れておきたい。


