宇宙

2025.07.02 11:00

ISS、新たな空気漏れの場所特定できず 「壊滅的な故障」の懸念と2027年廃棄の可能性

(C)NASA/Yoshio Suzuki

太平洋へのISS廃棄が早まる可能性

今回の事案は、AX-4のクルー4名を乗せたクルードラゴンが6月25日に打ち上げられたことで一端終息したように思えるが、このインシデント(事故につながり得る重大な事案)は現在も継続している。AX-4の打ち上げが延期された2日後、イーロン・マスク氏は、以下のようにXにポストした。

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「ISSの安全性には深刻な懸念が存在する。その一部は老朽化が著しく、明らかにそのリスクは時間とともに増大している。スペースXは人員や物資を ISS に輸送することで年間数十億ドルの収益をNASAから得ているが、それでも私は2 年以内にISSを軌道から外すことを推奨する」

スペースXが開発中の軌道離脱機「USDV」。ISSの船首にドッキングさせ、逆噴射することでISSの機速と高度を落とし、2031年に南太平洋へ落とす(C)NASA
スペースXが開発中の軌道離脱機「USDV」。ISSの船首にドッキングさせ、逆噴射することでISSの機速と高度を落とし、2031年に南太平洋へ落とす(C)NASA

現在スペースXは、ISSを落とすための軌道離脱機(USDV)を開発している。同社の無人輸送機「カーゴドラゴン」を改造し、スラスター(姿勢制御用エンジン)を18基から46基に増設することで、通常機の4倍の推力を発揮する。この機体は固定価格契約のもと、最大8億4300万ドル(1324億円)でNASAから受注した。

ISSの軌道離脱プラン。USDVを2028年11月までにISSに接続し、2031年3月までにISSを太平洋へ落とす計画が描かれている(C)NASA
ISSの軌道離脱プラン。USDVを2028年11月までにISSに接続し、2031年3月までにISSを太平洋へ落とす計画が描かれている(C)NASA

この機体が2027年までに完成し、マスク氏が推奨するとおり2年後にISSを落とせるかは未定だ。しかし、今回の空気漏洩と並行して、トランプ政権においてもISSの運用予算を次年度から大幅に圧縮することを議会に要求している。これによって滞在クルーが削減され、輸送船の打ち上げ回数が低減されるなど、早くもISSの機能が制限されつつある。その結果、質量450トンのISSを早期に南太平洋へ落とすムードが高まりつつある。

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編集=安井克至

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