追加の重要エリアを封鎖
続く6月14日には、AX-4ミッションのクルードラゴンを同月22日に打ち上げると発表したが、19日には再び延期を決定。これは従来から存在する亀裂に対する修理の経過を見るためと説明された。また、その前日の18日には、各ハッチのシール部を「ルーペを使って入念に確認」したことが、大西卓哉氏によって報告されている。大西氏は現在、ISS船長を務めている。
今日は各ハッチの点検に時間を費やしました。
— 大西卓哉 (JAXA宇宙飛行士)Takuya Onishi (@Astro_Onishi) June 17, 2025
ハッチというのは、家でいうと部屋と部屋の間にあるドアです。
急減圧などの緊急時にはこれを閉じて自分たちの安全を確保することになるので、ハッチのシール部が損傷していないかの確認は非常に重要です。
ルーペを使って入念に確認しました。 pic.twitter.com/AhqcFZtKk5
この事案の発生により、NASAは「追加の重要エリア」を閉鎖したという。その詳細は報じられていないが、おそらくさらに手前にある、移送室(PKhO)と主作業室(RO1)との間にあるハッチなどを閉じたのではないか。もしこの症状が悪化すれば、ズヴェズダ後端にあるドッキングポート(Aft Port)は今後使用不能になる。このポートには現在、プログレスMS-30がドッキングしている。
また、「追加の重要エリア」にズヴェズダの主作業室が加わったのであれば、ロシア区画側の機能は大幅に低下する。そこには生命維持装置、通信装置、航法誘導システム、電源装置、船内熱制御装置があるほか、ギャレーや冷蔵庫、トレッドミル(運動器具)、寝室、トイレなども設置され、ロシア搭乗員の生活拠点とされている。
金属疲労による亀裂
空気の漏洩箇所と同様、亀裂の発生原因も不明のままだ。可能性のひとつとして、ソユーズやプログレスがドッキングする際の衝撃が考えられるが、その可能性は低い。ズヴェズダには宇宙機が直接ドキングするポートが1カ所、付属モジュールであるポイスクやナウカを介するポートが2カ所あるが、そこに宇宙機がドッキングする際にはISSとの相対速度が秒速0.1~0.3mまで低減され、さらにドッキング機構で衝撃が吸収されるため、その衝撃は小さい。ただし、後端のポート(After Port)に接続したプログレスは、ISSの軌道高度を上げる際にはエンジンを噴射して質量450トンのISSを押す。そのとき発生する力と振動は、ズヴェズダのドッキング機構とPrkに集中することになる。
また、ズヴェズダは騒音が大きいことで知られている。酸素生成装置「エレクトロン」や換気ファンなどが常に騒音を発し、クルーは同モジュール内では耳栓を使用する場合もあるという。その微振動がアルミニウム製の船体に「高サイクル疲労」をもたらし、その結果として亀裂が生じたとも考えられる。


