NASAは6月12日、ISS(国際宇宙ステーション)のモジュール「ズヴェズダ」から、「新たな減圧のサイン」が見つかったことを公表した。同モジュールの空気漏洩は2019年から常態化しているが、今回の報告は別の場所からも空気が漏れていることを示唆する。
NASAのOIG(監察総監室)が2024年にまとめた報告書によると、ISSの空気漏洩量は昨年4月、1日当たり1.68kgに達し、許容減圧レート(~0.27kg)の6倍を記録。これによって同年9月には、ISSのリスクレベルが最高値の「リスク5」に引き上げられている。

その後リーク量は低減し、船内気圧は安定した状態にあるが、亀裂の厳密な場所は依然として特定されておらず、新たなリークは存在の有無さえ判明していない。この漏洩に関してNASAとロスコスモス(ロシアの宇宙機関)は、リーク量やリスクレベルなど具体的な情報を開示していない。
ISSの運用と安全性に関して助言するISS諮問委員会(ISSAC)では、こうした亀裂が空気漏洩だけでなく、「壊滅的な故障」を突然起こすことを懸念。ISSは2030年まで運用され、2031年には太平洋に落とされる予定だが、果たして2030年まで運用できるのか、との声も出始めている。
漏洩箇所はズヴェズダの「Prk」
2019年から続く空気漏洩は、ズヴェズダの一部である「Prk」というセクションで発生している。そして今回見つかった新たなリークは、Prkにつながるハッチで発生している可能性がある。まずはこれらの位置を確認したい。

ISSは船首側の「アメリカ区画」と船尾側の「ロシア区画」に大別され、ズヴェズダはロシア区画の最後部に接続する。ISSの建設が開始されたのは1998年。その2年後に打ち上げられたズヴェズダは、16基あるISSのモジュールのなかで3番目に古い。

全長 13.8mのズヴェズダは、船首側にある球形の「移送室(PKhO)」、円筒形の「主作業室(RO)」、筒状の「移送室(PrK)」という3つの与圧室で構成される。さらに主要部分である主作業室(RO)は、大径部(RO1)と小径部(RO2)から成り立つ。