北米

2025.07.02 09:00

「億万長者はいらない」次期NY市長候補の「民主社会主義者」にビリオネアが反発

ゾーラン・マムダニ(Michael M. Santiago/Getty Images)

ゾーラン・マムダニ(Michael M. Santiago/Getty Images)

11月のニューヨーク市長選挙に向けた民主党の候補者選びで指名を確実にしたゾーラン・マムダニ(33)が、NBCニュースのインタビューで「私は、ビリオネアが存在すべきだとは思わない」と語ったことを受け、複数のビリオネアや政治家が、SNS上で彼を批判した。

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クラフト・ベンチャーズの共同創業者デービット・サックスは、6月30日のX(旧ツイッター)の投稿で、「君たちには基本的に2つの選択肢がある。MAGA(Make America Great Again)に賛同するか、マムダニがやることの犠牲者になる覚悟をするかだ」と警告した。

マムダニは、年間収入が100万ドル(約1億4300万円)を超える上位1%の富裕層のニューヨーカーらに対して、一律2%の増税を提案している。彼は、29日のNBCのインタビューでニューヨークの固定資産税制度は不公平であり、このように格差が深刻な都市にビリオネアがいるべきではないと述べていた。

トランプ大統領の暗号資産担当官でもあるサックスは、マムダニのインタビュー映像をXでシェアした上で、「共産主義がリベラリズムを打ち負かした」と述べて、シリコンバレーがトランプ政権と歩調を合わせるべきだと警告した。

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一方、著名なヘッジファンド運用者のビル・アックマンは30日、マムダニが「米国はより多くの社会主義者を当選させるべきだ」と語る映像を再投稿し、「マムダニが自らを社会主義者と名乗っているのは、冗談でも単なる理想でもない」と述べた。また、「今のところ彼は勝っている」とも指摘した。

ユタ州選出の共和党のマイク・リー上院議員も、同じ映像を背景にソ連の国旗が映るように加工してリポストし、「彼は、少なくとも自分の立場を明らかにしている」と揶揄した。

マムダニはこれまでビリオネアについて何を語ってきたか?

24日の民主党予備選で勝利したマムダニは、キャンペーンを通じてニューヨークの物価高を非難し、家賃の値上げの凍結やバスの無料化、公営の食料品店の開設、無料の育児支援などを訴えてきた。また、26日のCNNのインタビューで彼は、富裕層への増税を主張し、「資本主義には多くの問題がある」と語った。

アックマンは、ニューヨーク州選出の下院議員マイク・ロイヤーがマムダニを批判した投稿をXでシェアし、「ニューヨーク市は大変なことになる」とコメントした。さらに別の投稿でアックマンは、マムダニが主張する「貧困層へのサービスの提供」という目標の達成が、「ニューヨーク市がビジネスに優しい環境であることに全面的に依存している」と指摘した。

一方、マムダニは以前、アックマンがクオモ前ニューヨーク州知事のスーパーPACに50万ドル(約7150万円)を献金したことを非難していたが、自身がもし新たな市長に就任すれば、政府の資金をすべてのニューヨーカーの暮らしの改善のために使うつもりで、そこにはビリオネアも含まれていると語った。

トランプは、民主党予備選でマムダニが勝利した翌日のSNSの投稿で、「民主党は一線を越えた」と述べて、マムダニを「完全なる共産主義の狂人」と呼んだ。さらに「見た目がとても酷く、あまり賢くもない」と罵倒した。

CNNのインタビューで、民主社会主義をどう定義するかを問われたマムダニは、マーティン・ルーサー・キングの言葉を引用し、「この国のすべての神の子どもたちに、より良く富が分配されなければならない」と語っていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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