中国深センを拠点とする宝飾品販売大手の「周六福珠宝(ジョウ・リウ・フー・ジュエリー)」が6月26日、香港株式市場に上場した。同社株価は、取引開始後の2日間で67%上昇し、会長の李炜柱(リ・ウェイジュ)がビリオネアの仲間入りを果たした。
現在47歳の李は、自身の投資会社を通じて周六福の株式57%を保有している。フォーブスの試算によると、この新規株式公開(IPO)によって彼の保有資産は約12億ドル(約1716億円。1ドル=143円換算)に達した。また、彼の兄で副会長を務める李炜鹏(リ・ウェイポン)は24%を保有しており、保有資産は推定5億2200万ドル(約746億円)に達した。
周六福は26日のIPOで13億香港ドル(約234億円。1香港ドル=18円換算)を調達した。同社は、フォーブスからのコメント要請に応じなかった。
周六福は、香港のビリオネア鄭家純(ヘンリー・チェン)が率いる同業の「周大福」、同じく香港上場の「六福珠宝」と名前が酷似していることから、これら企業の模倣業者だと考えられてきた。
周六福は実際、上場目論見書の中で7件の訴訟を抱えていることを明かしている。そのひとつは、2023年にフランチャイズ加盟店とともに商標権侵害で提訴された案件で、この訴訟は問題となった製品の販売停止と原告への和解金の支払いで和解した。一方で同社は、小規模な競合他社を相手取る商標権侵害の訴訟を起こしており、進行中の訴訟が25件に及ぶことも明らかにしている。
同社は2019年に深セン証券取引所への上場を申請したが、当局は商標権に関する訴訟やフランチャイズ店への過度な依存を理由にこの申請を却下していた。その後2022年に深センでの上場が承認されたものの、周六福は香港のIPO市場が回復傾向にあったことから、最終的に香港市場への切り替えを選択した。
かつては「周天福」という社名だったこの会社は、2004年に李の兄の炜鹏とその友人によって設立された。この年に中国当局は深センの水貝地区に巨大な貴金属取引所をオープンして、世界有数の金の取引所にしていた。その頃、広東外語外貿大学で金融を学んだ李は、銀行に勤務した後に周六福の経営に参画し、同年、兄の友人のすべての持ち株を買い取った。
店舗数で中国5位の宝飾品チェーン、約98%がフランチャイズ店
周六福は、他の多くの中国のジュエリー業者と同様に、フランチャイズモデルによって積極的に事業を拡大した。この分野のマス向け市場に特化した同社は、コンサルティング会社フロスト&サリバンのデータによると、2024年時点で中国で5番目に店舗数の多い宝飾品チェーンであり、国内に4125店舗を展開している。また約98%がフランチャイズ店で、半数以上が小規模な3級都市かそれ以下の都市に置かれている。さらに、カンボジア、ラオス、タイなどの海外でも4店舗を展開中だ。
中国全体の景気低迷にもかかわらず、周六福の2024年の純利益は前年比7%増の7億630万元(約141億円。1元=20円換算)に達し、売上高も11%増の57億元(約1140億円)に達していた。同社はこの成長をフランチャイズネットワークの拡大によるものだと説明している。
周六福のIPOは、6月に香港市場に上場した後発の競合の老鋪黄金(ラオプーゴールド)に続くものだ。老舗黄金の株価は、上場以降に1100%以上も急騰し、創業者の徐高明(シュウ・ガオミン)を世界有数の富豪に押し上げている。北京を拠点とする同社は、高級感のある精巧なデザインを売りとしており、リスク回避的な資産を求める中国の消費者に人気を博し、小売市場全体の低迷の中でも売上を伸ばしている。
これを受けて周六福も近年、ブランドイメージの向上を図っており、高級ショッピングモールに店舗を構えたり、中国の伝統的な金細工技術を取り入れた製品を展開したりしている。



