CBD事業者に求められる対応──恐れるのではなく備える
現在のように“絨毯爆撃”とも言える厳格運用の中で、まっとうなCBD事業者がどう生き残るのかが試されています。答えは一つずつ正しく進むしかありません。
このような事件を目にして、「CBDはリスクが高いのでは」と不安に感じる事業者の方も多いと思います。しかし、私はむしろ「適切な対応をすれば防げるリスク」だと考えています。
重要なのは以下の3つのポイントです。
輸入前の原料検査:成分証明(COA)の確認
輸入後の製品検査:日本国内到着後、ラボによるTHCの分析で1との整合性を確認
出荷前のロット検査:最終製品に対するTHC非検出の確認(変性なども加速度試験や苛酷試験で確認)
一例ではありますがこのような検査体制を敷くことで、万が一の混入や製造ミスも未然に防ぐことが可能です。
加えて、こうした検査体制を支えるためには、社内での管理責任者の明確化、製造工程におけるGMP準拠の仕組み、流通段階における温度・光・衛生管理、さらには従業員教育なども必要不可欠です。単に検査を実施するだけでなく、「検査精度を担保できる体制そのもの」を整えているかどうかが、今後は評価されていくと考えています。
現在のように“絨毯爆撃”とも言える厳格運用の中で、まっとうなCBD事業者がどう生き残るのかが試されています。 答えは一つずつ正しく進むしかありません。
地道に、高価でも複数回の検査を実施し、厳格な管理体制を整えて、製品を市場に出していく──これを継続することです。 業界団体も整い始めており、自主ルールも徐々に整備されてきています。
数年後に信頼を勝ち取って生き残っているのは、こうした道を選んだ事業者だと私は確信しています。 真面目に進めている事業者の皆さんには、どうか腐らずに、健全な日本のCBD市場のために共に歩んでいっていただきたいです。
新たにできた「機能性表示食品制度」から学ぶ、業界としてのガバナンス
小林製薬の紅麹事件をきっかけに、厚労省・消費者庁が進める「機能性表示食品制度」でも、事業者に対して年1回の自己点検が義務化されました。 点検項目は大きく3つに分かれています。
(1)安全性と機能性の根拠の確認 (2)製造・品質管理体制の整備 (3)健康被害の情報収集・提供体制
これらはまさにCBD製品にも適用できるフレームです。 GMP基準による製造、THCを含む定期的な分析、そして消費者・医療機関との情報連携体制を整えること。 業界全体として「透明性」を高めるには、こうした外部制度の視点を取り入れることが急務です。
ルールなき拡大ではなく、信頼ある拡大を
CBDが明確に合法化された今、業界の信頼構築にはルールメイキングが必要不可欠です。 法制度が用意した「枠」の中で、自主的に基準をつくり、それを守る姿勢こそが、消費者や行政、金融・流通業界からの信頼につながります。
一件の違反で業界全体が傷つく時代は、もう終わりにしましょう。 恐れるのではなく備える。 そして、社会の信頼に応えられるCBD市場を、私たち自身の手でつくっていきましょう。


