ブラックマンバは、頭と首を高く掲げてサバンナを移動している姿がよく目撃される。これは、鋭い視覚を生かして、危険を探ったり獲物を追跡したりしているのだ。獲物になるのはたいてい、ハイラックスやガラゴ、齧歯類などの小型哺乳類だ。
恐るべき評判にもかかわらず、ブラックマンバは本来、攻撃的というわけではない。実際には用心深く、衝突を極力避けようとひっそり生きている。ほとんどのヘビと同じく、危険を感じたり追いつめられたりしなければ攻撃してこない。
空中最速のヘビ「パラダイストビヘビ」
一般的な意味での「飛行」能力はもたないが、驚くべき滑空能力を進化させたパラダイストビヘビ(学名:Chrysopelea paradisi)は、世界屈指の興味深いヘビであり、世界最速の移動スピードを誇るヘビでもある。
東南アジアの熱帯雨林に生息するこのヘビは、独特な体の構造を生かして肋骨を扁平にし、空中で体を波打たせて木から木へと「飛び」移る。
その滑空能力のおかげで、1回の跳躍で最大100フィート(約30m)の距離を移動でき、そのスピードはしばしば時速25マイル(約40km)にも達する。純粋な速度という点では、世界最速のヘビだ──ただし、このスピードを出せるのは滑空中に限られる。
このヘビの滑空テクニックは、高いところから飛び出し、扁平にした長い体を、空気抵抗を利用して「浮かせる」というもので、まさに空を飛んでいるように見える。実際には、これは制御された自由落下で、精密な体の動きによって、滑空を操縦する。こうした特殊な移動形態のおかげで、捕食者を避け、獲物を狩り、うっそうとした森林の生息環境で、木から木へと効率的に動きまわることができる。
トビヘビ属(Chrysopelea)には5種のヘビがいるが、滑空行動が記録されているのは4種だけだ。例外の1種はハイオビトビヘビ(Chrysopelea taprobanica)で、この種については、空中移動に関するデータはまだない。ほかの種はいずれも空中移動に熟達していると見られているが、生体力学研究では、なかでも最も速く滑空できるのはパラダイストビヘビであることが示唆されている。
パラダイストビヘビは毒ヘビだが、毒は弱く、人間にとってはほとんど危険ではない。このヘビが主に食べているのは、爬虫類や鳥類などの小型脊椎動物だ。
樹冠から獲物を急襲したり、脅威から逃げたりする際に、その滑空能力は間違いなく利点となっている。


