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2025.07.02 13:00

​​王者ネトフリを追撃、日本ストリーミング界の巨人「U-NEXT」をつくった男

U-NEXT HOLDINGS 代表取締役社長CEO 宇野康秀(Photo by Jun Sato/WireImage)

また、宇野は海外展開にも慎重な姿勢で取り組んでいる。ストリーミング事業ではワーナーとの提携を拡大し、U-NEXTの日本のコンテンツを世界中で配信しようとしている。また、今年2月にはマレーシアに子会社を設立し、ハラール認証を受けたバーチャルレストランの開発とフランチャイズ展開に乗り出した。U-NEXTは2022年に、当時「Virtual Restaurant(バーチャルレストラン)」という名称だったフードデリバリーサービス「WannaEat(ウォナイート)」を非公表の金額で買収し、飲食事業に進出した。「海外展開が簡単ではないことは、よく理解している」と宇野は語る。

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プライベートでも宇野は、自身を追い込む過酷な道を歩んできた。USENを退社後にトライアスロンにのめり込んだ彼は、2015年にはスウェーデンで開催された世界長距離選手権への出場を果たし、完走した。この過酷な経験は、彼の波乱に満ちたビジネスキャリアを乗り越えるうえで役立ったという。「過酷なスポーツをしていると、どんなに辛いことであっても、いずれ終わりが来ると思えるようになる」と彼は語る。

宇野はまた、数百万世帯の日本の家庭にコンテンツを届けるだけでは満足せず、映画のプロデュースも手がけている。「大学時代は毎晩1〜2本の映画を観た」というほどの映画マニアである彼は、2019年に自身の制作会社の「Uno Films」を設立した。同社がこれまでに手がけた唯一の作品である2022年公開の映画『流浪の月』は、日本アカデミー賞の6部門で優秀賞を受賞した。Uno Filmsは、複数の新たな企画が進行中だとしているが、詳細は明かしていない。

宇野は、会社の日々の仕事から離れるつもりは当面ないとしつつも、社内の1年間の研修プログラムを通じて将来の後継者候補を育成している(彼の成人した2人の子どもは、会社に関与していない)。約2年前に始まったこのプログラムは、月1回のセッションで、経営戦略の立案やリーダーシップスキルなどのテーマを扱うもので、ビジネス書やケーススタディーの分析を参加者たちに求めている。宇野は、ほぼ半数のセッションに参加して、自身の経験から得た教訓を語っている

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「宇野さんは、ほとんどの会社が立ち行かなくなるような荒波に耐えてきた人だ。彼の揺るぎない信念と粘り強さは、私を含む多くの経営者に希望の光を与えてくれる」と、楽天の創業者でCEOの三木谷浩史は述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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