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2025.07.02 13:00

​​王者ネトフリを追撃、日本ストリーミング界の巨人「U-NEXT」をつくった男

U-NEXT HOLDINGS 代表取締役社長CEO 宇野康秀(Photo by Jun Sato/WireImage)

さらに、米国市場との比較においても宇野はまだ、十分な成長の余地があると見ている。GEMによれば、日本人の有料ストリーミングサービスの利用率は約40%で、1世帯あたりの平均契約数は1.8件だという。一方、デロイトが今年年3月に発表した「デジタルメディア・トレンドレポート」によれば、米国人の約90%が少なくとも1つの有料ストリーミングサービスを契約しており、1世帯あたりの平均契約数は4件となっている。

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宇野はまた、日本の視聴者が無料のコンテンツに慣れていることを認めつつも、有料サービスの利用者比率が60%に上昇する可能性があると考えている。U-NEXTは今後10年で加入者数を、現状のネットフリックスに匹敵する1000万人規模に伸ばそうとしている。ただし、ここで課題となるのが、価格設定の問題だ。U-NEXTの見放題プランの月額料金が2189円であるのに対し、ネットフリックスの広告なしのスタンダードプランは、1590円とかなり安く、広告付きの最安プランに至っては、半分以下の890円となっている。

一方、GEMパートナーズCEOの梅津文は、「U-NEXTの価格はたしかに高いが、顧客は新しい作品にアクセス可能で、マンガなどのコンテンツも用意されている」と語る。彼女はまた、「加入者数でネットフリックスを上回るのは困難だが、料金の高さから収益面で追い抜ける可能性は十分にある。U-NEXTのコンテンツ量は圧倒的だ」と続けた。

U-NEXTは昨年、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーと提携を結び、同社の「Max」プラットフォームに含まれるディスカバリーチャンネルやアニマルプラネット、HBOなどのブランドの作品を視聴可能にした。

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一方、宇野は1000万人という有料加入者数目標の達成が、自社の自然な成長のみでは難しいことを認めている。「この分野の競争は、すでにレッドオーシャンだ。生き残れない会社は他社と統合されていく。その動きはすでに起きている」と彼は語る。

U-NEXTは2023年、有料動画配信サービス「Paravi」を運営するプレミアム・プラットフォーム・ジャパン(PPJ)との株式交換による経営統合を発表した。TBSやテレビ東京などが出資するPPJとの統合により、U-NEXTは加入者数を増やし、日本のテレビ局による再放送などの約1万9000本のタイトルへのアクセス権を獲得した。これにより、同社はグローバルのストリーミング大手と戦うための力を獲得した。宇野は、今後も同様の取引が続く可能性を示唆している。

今後の事業拡大と海外事業

U-NEXTは今後、ストリーミング事業に加えて、2000人の営業担当者と1000人の技術者を活用し、サービスのクロスセルや普及率がまだ低い分野の事業拡大に注力する計画だ。たとえば、日本の病院では自動精算機の導入率が全体の3分の1未満、ビジネスホテルでは4分の1未満にとどまっている。そのためU-NEXTは昨年、キャッシュレス決済を提供するために決済サービス事業者のネットムーブを約58億円で買収し、既存のPOSサービス部門を補完した。

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編集=上田裕資

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