ドナルド・トランプ大統領は、人気のショート動画アプリTikTokを「非常に裕福な人々のグループ」が購入する予定だと語った。これまで中国のテック企業ByteDance(バイトダンス)が所有するTikTokに対する禁止措置の執行は何度も繰り延べられてきた。
「中国の承認が必要だと思うし、習近平主席はおそらく承認するだろう」とトランプ大統領は、Fox Newsの「Sunday Morning Futures」で司会者マリア・バルティロモに語ったが、取引の詳細についてはさらに言及しなかった。
トランプ大統領は、買い手についての詳細には触れず、「2週間後にお話しする」と述べている。
TikTokは、フォーブスからのコメント要請には応じていない。
2024年3月、米国合衆国議会は「敵対する外国の勢力が管理するアプリケーションから米国人を保護する法律(Protecting Americans from Foreign Adversary Controlled Applications Act)」を通過させた。この法案は、バイトダンスに対してTikTokを米国の所有者に売却するか、米国内での運営停止を迫る内容だった。
この法案は超党派で支持され、2024年4月にジョー・バイデン前大統領によって署名されたが、バイトダンスは即座に禁止措置の合法性に異議を唱えた。以前、このアプリはセキュリティ上の懸念から連邦政府のデバイスで使用禁止となり、多くの州で公的デバイスでも使用制限がかけられていた。トランプ大統領は、任期中にTikTokを行政命令で禁止しようとしたが、2024年の大統領選挙戦では若年層の有権者を取り込むため、TikTokを支持する姿勢を見せた。最高裁は2024年1月に禁止を支持したが、その後、トランプ政権は法律の施行を3度延期する行政命令を出しており、最近では米国時間2024年6月17日に再度延期が発表されている。
バイトダンスがTikTokをいくらで売却するかは不明だ。このアプリは米国で1億7000万人のユーザーを抱えており、評価額は300億ドル(約4兆3000億円)から3000億ドル(約43兆4000億円)以上にのぼる可能性もある。噂される買い手には、マイクロソフトやオラクルといった大手テクノロジー企業や、元ロサンゼルス・ドジャースオーナーのフランク・マコート、元アクティビジョン・ブリザードCEOのボビー・コティックといった億万長者がいる。また、トランプ政権で財務長官を務めたスティーブン・ムニューシンも、当初この禁止措置が通過した際に、億万長者投資家グループとともにアプリ購入案を出していた。



