
最後に、祖父の山内溥が、今の山内万丈を見てどう思うだろうかと尋ねると、「何と言いますかね、呆れながら『そうかぁ』とでも、言うんじゃないでしょうか。少なくとも褒めはしないですよ」という。山内溥と山内万丈。確かにふたりの道は違う。しかし共通するのは、菊浜から、京都から、日本から新たな価値を生み出そうとする姿勢だ。山内家のDNAである「独創による独走」によって、世界の才能が集まる「知の生態系」が形成され始めている。
山内万丈◎1992年生まれ。任天堂創業家・山内家5代目。2016年早稲田大学政治経済学部を卒業後、博報堂に入社。20年に同社のファミリーオフィYamauchi
No.10 Family Office、21年に山内財団を設立。山内家イズムの継承と体現、国内外での投資活動や社会活動に取り組む。
Yamauchi No.10 Family Office◎山内家が抱えるプロフェッショナルファーム。投資やビジネス、慈善活動、ネットワーキングなど山内家が手がけるプロジェクトを推進するための人材を擁する。日本国内におけるアクティブなファミリーオフィスとしては先進事例のひとつ。米タイヨウ・パシフィック・パートナーズの買収や国内外での積極投資、任天堂創業地の開発などで注目を集める。
主な投資先|宇宙ゴミ除去技術を開発するAstroscale HD(日本)、脳とコンピュータ間のインターフェース技術を開発するParadromics(米国)、AIで重要鉱物探査を行うEarth AI(オーストラリア)など約30社のスタートアップへの直接投資に加えて、VCへの投資も行う。


