時計

2025.06.30 09:30

スイス時計輸出、年初から激しく変動 関税巡る不確実性が高まる中

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スイスの時計輸出は今年に入り、ジェットコースターのような変動を見せている。特に米国向け輸出は4月に急増したが、これは同国の関税を巡る不確実性が高まる中、ブランド直営店や小売業者が価格上昇を回避しようと在庫を積み増したことが要因だ。

スイス時計協会(FH)によると、ドナルド・トランプ米大統領がスイスからの輸入品に31%の関税を課す考えを打ち出したことを受け、米国向けスイス時計の輸出は4月に前年同月比149%増加し、過去最高を記録した。ところが5月に入ると、スイス時計の主要市場すべてに対する輸出が激減。米国向け輸出の25.3%の急落を筆頭に、中国向けは17.4%減、英国向けは14%減、香港向けは12.6%減、日本向けは10.5%減となった。

4月の輸出の急増について、FHは、需要増の真の兆候というよりは、貿易の不確実性に対する一時的な反応だと説明。その上で、次のように分析した。「4月のピーク以降の米市場の低迷が響き、5月の世界全体への輸出額は前年同月比9.5%減の21億スイスフラン(約3800億円)となった。世界全体の輸出額減少のうち、米国が40%以上を占めた。これは4月に見られた150%の増加に続くブーメラン効果だが、予想よりは穏やかなものだった。中国(17.4%減)と香港(12.6%減)に加え、日本(10.5%減)と英国(14.5%減)も市場の急落に影響を及ぼした。アラブ首長国連邦(UAE)は上位12カ国の中で唯一、5月の輸出額が前年同月より増加したが、年初からは依然として下降傾向にある」

明るい面としては、年初からのスイス時計輸出の全体的な傾向は昨年よりわずかに好調で、5月末までに1.1%の成長を記録し、累計額が108億スイスフラン(約1兆9500億円)に達していることだ。だが、真の力は年末商戦を前に輸出が再び増加する秋に試される。

スイスの時計業界は7~8月におおむね休業するが、9月初旬の週末に西部ジュネーブのさまざまな会場で開催される業界の催し「ジュネーブ・ウォッチデーズ」で再び活気づく。2026年4月14~20日には、高級時計の見本市「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ」がジュネーブで開催される。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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