ドナルド・トランプ米大統領が国外と国内で2つの大きな「戦い」を同時に繰り広げるなか、日本銀行は未知の領域にますます深く入り込んでいる。
米国によるイランの核施設への攻撃後、中東の紛争がどのように展開するのかは誰にもわからない。たとえば原油トレーダーたちは、トランプの発表した「停戦」が維持されるのか、それとも戦闘が再燃するのか判断しかねている。
こうした状況を受けて、日銀は7月末の金融政策決定会合でさらに困難な判断を迫られることになるだろう。原油価格が1バレル=100ドルに向かうのか、それとも60ドルに下がるのか予測がつかないからだ。
他方、トランプが国内で米連邦準備制度理事会(FRB)を相手に続けているバトルも、日銀の植田和男総裁のチームにとって同じくらい大きな試練をもたらすおそれがある。トランプがFRBのジェローム・パウエル議長に対して続けている「口撃」は、アジアにもひどい結果を招きかねないからだ。
そのはっきりとした伝播ルートのひとつはドルである。トランプワールドがFRBの独立性を攻撃すればするほど、パウエルのチームの信頼性に傷がつく。基軸通貨であるドルへの信認が損なわれれば、アジアにも激震が走る。アジアは輸出頼みの成長からの脱却を図っているとはいえ、ほかの地域と同じように相変わらずドルとの結びつきが強いからだ。
実際、トランプがパウエルの解任をちらつかせると、アジアには大きな不安が広がった。トランプがパウエルを「間抜け」と罵倒するなど、いじめっ子のようなやり口で威圧するたびにも。25日にはウォールストリート・ジャーナル紙が、トランプはパウエルの後任を2026年5月の任期満了のだいぶ前に指名することを検討していると報じた。
ドル安が進めば、アジアが保有する2兆5000億ドル(約360兆円)超の米国債が価値低下のリスクにさらされる。うち日本が最も多い1兆1000億ドル(約160兆円)程度を保有し、中国がおよそ7600億ドル(約110兆円)で続く。



