ウランが周辺地域に放出されたらどうなるか
ウランは移動性が比較的低く、砂漠の環境では水がほとんどないため、がれきや粉塵による放射能汚染は空爆を受けた現場周辺に限定される可能性が高い。
ウラン235の半減期は約7億380万年で、放射性崩壊の速度は遅く、放射線量も低い。崩壊時にアルファ粒子(本質的には電離ヘリウム原子核)を放出するが、その飛距離は短い。ウランとその化合物は、通常の条件下では安全に取り扱うことができ、吸入または摂取した場合にのみ健康リスクをもたらす。
空爆による他のリスクの可能性は?
ヨウ素131、セシウム137、セシウム138は、いずれも筋肉組織や骨組織に蓄積する可能性があり発がん性が高いとされている同位体だが、制御された核分裂反応の際にのみ生成される。空爆現場にこれらの物質が存在したことを示す証拠はない。
ウラン235が崩壊すると、肺がんリスクを高める放射性ラドンガスが発生する可能性がある。ラドンガスはがれきや岩盤の裂け目から染み出す場合があるが、空気循環の悪い閉鎖空間に蓄積する傾向があり、屋外や換気が十分な部屋ではリスクは低い。
環境への差し迫った最大の脅威は、フッ素化学物質への過度の暴露や、破壊された設備からの各種ガスや有毒燃料、冷却剤の漏出である。
なお、英紙ガーディアン紙は6月25日付で、イラン当局がIAEAとの協力を停止すると報じた。これにより、空爆の影響を監視することが今後は難しくなる。


