「ビジュアル検索によって、製品カタログ全体が可視化されることになる。このソリューションは、視覚的に類似したアイテムを提示する優れたクロスセルツールになる」と、調査会社Zion Market Researchのアナリストは述べている。
グーグルも「バーチャル試着」機能を公開
また、他社のビジュアル検索ツールもすでに大きな成果を上げ始めている。例えばアマゾンは欲しい商品の画像から、それに似た商品を検索できる機能を提供している。家具関連ではイケアやターゲット、ウェイフェアなどの小売業者が、特定の家具が顧客の家にどのようにフィットするかを確認しながら検索できるアプリを導入している。
この分野では、さまざまなスタートアップが新たなツールを開発中だ。ロンドン拠点のビジュアルAIのEコマース新興企業、Miros(ミロス)は最近600万ドル(約8億6800万円)の資金調達に成功したが、同社の投資家には、エストニア前大統領のトーマス・ヘンドリク・イルヴェスが名を連ねている。
また、この分野ではPixyle AI(ピクシルAI)という企業も注目されている。筆者が3年前に初めて取材したこの企業は、Eコマース事業者向けに、詳細な商品説明や類似画像のアップロードによって、買い物客が求める商品に迅速にたどり着けるよう支援している。
さらに、The New Black AIのようなファッション系サイトもGlance AIと類似したイノベーションを進めている。このサイトは、ユーザーが自身の写真や気になる服の写真をアップロードすると、それを着た自分の姿を表示してくれる。グーグルも米国で似た機能のテストを始めており、検索結果に表示された服を自分の写真に着せてみる「バーチャル試着」機能を公開している。
Eコマースは、今後ますますビジュアルを重視する方向に進化することが予想され、特に若い世代の消費者にその傾向が顕著だと考えられる。ある調査では、ミレニアル世代とZ世代の消費者の62%が、新たなテクノロジーの中でビジュアル検索機能を最も重視すると回答していた。この分野の競争は、今後さらに激化することが予想される。


