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2025.07.07 11:00

AIがセルフィーを元に洋服を提案 ビジュアル検索でEコマースを革新するGlanceの実力

(c) Glance

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新しい服に挑戦してみたいがインスピレーションが湧かない、あるいはどんな服が自分に似合うのか分からない──そんな悩みを抱える人にうってつけのアプリが「Glance AI」だ。このアプリの開発元のGlanceは、生成AIがファッションのEコマースを次の段階に導くと考えている。

「これは新しいショッピングの形だ」と語る同社の創業者でCEOのナヴィーン・テワリは、モバイル広告プラットフォームのユニコーン企業InMobi(インモビ)の創業者として広く知られている。彼は、Glance AIのテクノロジーが「従来のブラウジング型のEコーマスを、インスピレーションに導かれた発見型のショッピングへ移行させることになる」と述べている。

このアプリのユーザーは、最初に自分のセルフィーをアップロードして、年齢や人種、体型などの追加情報を入力する。Glance AI は、それらの情報を同社が過去20年間に蓄積してきた小売データと照合し、ユーザーが気に入りそうで、かつ似合いそうな服の候補を、ユーザーのセルフィーを元に生成されたアバターに着せた形でアプリの画面に表示する。それらの服は、アプリが提携する約400の小売業者のサイトから購入できるようになっている。

テワリによると、Glance AIは米国での試験運用で150万人のユーザーを獲得し、その半数が週に1回以上アプリを使用したという。また、ユーザーの4割がそこから買い物を始めたという。「このエンゲージメントレベルは画期的だ」とテワリは述べている。

Glance AIのビジネスモデルは、ユーザーが提携先のウェブサイトで購入を行った場合に、そこから手数料を得るというもので、収益のためには大量のユーザーを獲得する必要がある。ただし、テワリはGlanceのオープンな技術設計がその助けになると考えている。Glanceのツールはハードウェアへの組み込みが可能で、すでにスマートフォンやテレビのメーカーとの契約が進んでいる。「我々はスマホをAIフォンに、テレビを家庭内の商取引デバイスに変える」とテワリは述べている。彼は、今後1年以内に5000万人のユーザーを獲得することを視野に入れている。

この取り組みは、小売分野の将来の一端を示す魅力的な事例であり、Glance AIはすでにこの技術をアクセサリーや家具などの他の領域に拡張する計画に取り組んでいる。

また、同社の取り組みは、ビジュアル検索(視覚的な検索)が従来のテキストベースの検索に置き換わる新たなトレンドの一部とも言える。ある調査では、グローバルのビジュアル検索の市場規模は2023年時点で355億ドル(約4兆8400億円)に達していたが、2032年には1500億ドル(約21兆7000億円)を超えると予測されている。これは、年平均成長率が17.4%に達することを意味する。

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編集=上田裕資

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