社員がAIツールを最大限に活用しつつ、過度なリスクを取らずに済む
彼のアイデアは、顧客の支持を得ているようだ。Unboundは2023年の立ち上げ以来、医療やテクノロジーなどデータ管理にセンシティブな業界を中心に多くの企業顧客を獲得した。共同創業者兼最高技術責任者(CTO)を務めるヴィネシュ・スビアによると、顧客企業は同社のツールを使用することで、すでに7000件を超える潜在的なデータ漏洩を防止したという。
英国に本社を置くeコマース企業THG Ingenuityは、Unboundのプラットフォームをいち早く導入した企業のひとつだ。同社の最高情報セキュリティ責任者のエイブラハム・インガソルは、この技術によって、社員がAIツールを最大限に活用しつつ、過度なリスクを取らずに済むようになったと語る。「私たちはセキュリティ部門を障害物ではなく推進者と捉えている。Unboundのおかげで、社員に自信を持ってAIツールを展開できるようになった」と彼は述べている。
早期の顧客獲得は、投資家の注目も集める
こうした早期の顧客獲得は、投資家の注目も集めている。Unboundは400万ドル(約5億8000万円)のシード資金を調達したことを5月29日に発表した。このラウンドはRace Capitalが主導し、YコンビネータやWayfinder Ventures、Massive Tech Ventures、そして複数のエンジェル投資家が参加した。
「エンタープライズ向けAI市場は2033年までに世界全体で4.8兆ドル(約700兆円)規模に達すると見込まれているが、適切な安全策がなければ、その価値は危険にさらされる」とRace Capitalのゼネラルパートナーのイーディス・ヤンは語る。彼は、企業が直面するAIのリスクにデータ漏えいに加えて、従業員が会社の許可を得ずにAIツールを業務で利用する課題「シャドーAI」を挙げた。
AIガバナンス分野には1000社以上のスタートアップが存在
AIガバナンスを次の収益源と見込むスタートアップは増加している。StartUs Insightsが今年初めに発表したレポートによれば、この分野には1000社以上のスタートアップが存在し、多様なサービスを展開している。その中には、米国のFairNow、ドイツのTrailといったリスク管理に特化した企業や、アイルランドのInspeq AI、オーストラリアのKomplyAIのようなコンプライアンスのソリューションに特化した企業が含まれている。


