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2025.07.09 10:30

従業員の「隠れAI利用」が企業にリスク──「AIガバナンス」で可視化・制御

Shutterstock.com

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ここ数年、人工知能(AI)テクノロジーそのものよりも速く成長しているとされる分野が、AIを信頼できる状態に保つ製品とサービスを手がける「AIガバナンス」の市場だ。調査会社Markets & Marketsが公表したレポートによると、昨年の世界のAIガバナンス業界の市場規模は、8億9000万ドル(約1299億円。1ドル=146円換算)だったが、同社は2029年までに58億ドル(約8468億円)に達すると予測している。これは、1年あたりの平均成長率が45%を超えることを意味する。

顧客は、AIツールに接続するためのプラットフォームとしてUnboundを利用

「AIシステムが重要な意思決定を行うようになった今、アルゴリズムの偏り、データ漏洩、倫理違反といった予期せぬリスクが、規制当局やステークホルダーの注目を集め、企業は大きなプレッシャーに直面している」と、Markets & Marketsのアナリストは述べている。

こうした動きの恩恵を受ける企業のひとつが、サンフランシスコのスタートアップUnbound(アンバウンド)だ。同社は特にデータのプライバシーとセキュリティに重点を置いている。

「多くの企業はAIに関するポリシーを策定しているが、それを社員に守らせようとしても、実際のところ強制力がない。当社はそれを自動化するためのゲートウェイを提供している」とUnboundの共同創業者兼CEOのラジャラム・スリニヴァサンは説明する。

同社の顧客は、自社が導入するAIツールに接続するためのプラットフォームとしてUnboundを利用する。このプラットフォームは、顧客の社員によるAIツールの使用状況をモニタリングしており、たとえば、使用データをチェックして、AIプロバイダーが用いる大規模言語モデル(LLM)に機密情報が渡らないようにする。また、新しいツールのテストや、使用コストの監視にも利用できる。

「企業は、使用されているデータを可視化して、それらが保護されている保証を得ることに加えて、テクノロジーの進化に応じてより優れたモデルに乗り換えることを望んでいる。当社のツールは、そのような企業のニーズを満たすものだ」とスリニヴァサンは述べている。

次ページ > 社員がAIツールを最大限に活用しつつ、過度なリスクを取らずに済む

編集=上田裕資

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