経営・戦略

2025.07.01 10:00

おじさん向けと思われていたニューバランス、NBAドラ1選手を獲得するまでのブランド戦略

バスケットボール選手のクーパー・フラッグ(Roy Rochlin/Getty Images for Empire State Realty Trust)

年間売上100億ドルを視野に

一方で、ニューバランスのこうした取り組みに対しては懐疑的な見方も浮上している。レナードがナイキのジョーダンブランドから提示された4年間で2200万ドル(約31億9000万円)の契約を断ったと報じられたことから、ニューバランスがそれを上回る条件を提示したのではないかという憶測が広がった。

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もちろん、トップのNBA選手がスニーカー契約で年7桁ドル以上の報酬を得るのは珍しいことではない。しかし、BCEのマット・パウエルは、こうしたスポンサー契約が本当に投資に見合うリターンを生んでいるのかを疑問視している。というのも、バスケットボールシューズの市場は、もはやそれほど大きなものではなく、マイケル・ジョーダンのように、グッズ販売で突出した成功を収める選手は「二度と現れない」と考えられているからだ。

しかし、フォーブスが最近、世界で2番目に影響力のあるCMOに選んだデイビスは、より大きな機会をこの分野に見出している。「私たちは、バスケットボールでの取り組みの成果を、シューズの売上だけで評価するわけではない。カルチャーや消費者とのつながり全体で評価している。ライフスタイル商品やアパレルをバスケファンが買ってくれるのなら、それも成功なのだ」と彼は語った。

そしてまた、それが売上で測れるものであれカルチャーの影響力であれ、ニューバランスがブランドとしての存在感を保ち続けるには、契約している選手たちが高いパフォーマンスを発揮し続けることが不可欠だ。同社は、これまでガウフや大谷、ジャマール・マレー、キャメロン・ブリンク、レナードといったスター選手との契約でブランドの信頼性を高めてきたが、今年のNBAドラフト最大の注目選手であるフラッグも、今後の活躍が確実視されている。

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一方、今後の数年で年間売上100億ドル(約1兆4500億円)の達成を視野に入れるニューバランスは、著名アスリートたちがブランドに欠かせない存在になった今も、これまでの成長を支えた「ダッドシューズ」を捨て去るつもりはないという。

「スター選手と契約を結べるようになったのも、『ダッドシューズ』があったからこそだ」とバスケットボール部門を統括するロケッシュは語る。「それをなかったことにしたり、消したいと思うことは決してない。我々は多様なニーズに応えられるブランドでいたい」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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