2017年11月、田路圭輔が創業したドローン産業向け知的財産(IP)支援事業のDRONE iPLAB (DiPL)は、ドローンベンチャーのエアロネクストと資本提携。これに伴い、田路はエアロネクストに参画し、代表取締役CEOに就任した。
「人生100年時代の新しい社会インフラで、豊かさが隅々まで行き渡る世界へ。」をミッションに掲げる同社では、独自の機体構造設計技術「4D GRAVITY」を提供する技術ライセンス事業やドローン関連技術の共同開発事業に加え、子会社のNEXT DELIVERYを通じて、地域の物流をスマート化する「SkyHub」事業などを展開。「SkyHub」は直営に加えて、地域の物流会社と連携して提供するモデルを構築し、国内複数地域で社会実装が推進されている。
黄春梅は、24年2月にインパクト投資のVCとしてインパクト・キャピタルを始動。同年11月にエアロネクストが総額6.2億円の資金を調達したプレシリーズBラウンドでリード投資を行った。黄はなぜ投資したのか。
黄:経済的なリターンと社会的インパクト創出の両立に加えて、私たちは「システムチェンジ」という視点を大事にしています。それは、投資を通じて、その会社が属する産業の構造を変え、根本的な課題解決へ導けるかということ。田路さんに初めてお会いしたのは、ファンド組成前でしたが、その可能性を感じて1号案件にしたいと思いました。
田路:お会いしてすぐに、「この人に投資してほしい」と心から思ったのは私も初めてでした。ドローンを軸に、空を経済活動の場として新たな社会インフラをつくるという取り組みを的確に理解してもらえた感覚がありました。
黄:投資のポイントは主に3つ。ひとつは、ミッション実現のための精緻な設計図ができていたこと。田路さんは具体的なプロセスを描き上げていて、ドローンメーカーや物流会社、自治体など、川上から川下までステークホルダーを巻き込み、必要なパーツを押さえていました。
ふたつ目は、ビジネスとしての実現可能性の高さ。IPを軸に経営をしていて、コア技術を押さえつつ、ライセンス供与でパートナーと組んで、最小限のリソースで最大の経済性を実現する仕組みができています。
3つ目は、チーム力です。田路さんのビジョンを綿密なアクションプランに落とし込む唐尾(太智・取締役経営企画部長)さんや、ドローンパイロットの青木(孝人・NEXT DELIVERY取締役運航部統括責任者)さんなど、優れた人材が揃っていました。