評価額が75億ドル(約1兆円。1ドル=143円換算)の車両監視テクノロジー企業Flock Safety(フロック・セーフティ)は、数万台のナンバープレート読取カメラを用いて、大規模な人工知能(AI)監視ネットワークを米国49州にわたって構築している。そのカメラは今後、さらに多くの情報を把握可能になる。
静止画からライブ映像提供に機能強化、広範囲撮影が可能なカメラも
現在フロックのカメラは、車両の写真を撮影し、捜査対象の車両を警察、物流大手のFedEx(フェデックス)、ショッピングモール運営大手のサイモン・プロパティといった民間顧客に通知しており、今後は車両の通過時刻前後の15秒のクリップやライブ映像を提供可能になる。これによって警察は、今年の秋にはフロックのカメラを従来型監視カメラのように使用できるようになる。
フロックのギャレット・ラングリーCEOは、このアップデートによって警察が「現場をより詳しく把握できる」と語った。たとえば911通報が入った際に、警察は通報現場に最も近い5台のカメラ映像をリアルタイムで確認できるという。また、より広範囲を撮影できるよう角度調整が可能なカメラへのアップグレードオプションも加わる予定だ。
プライバシーの専門家による懸念の声
一方、市民の自由やプライバシーの専門家は長年、フロックの拡大に懸念を示してきた。ニュースサイト404 Mediaは先日、テキサス州当局がフロックの技術を利用して、州境を越えて中絶を行った女性の所在を突き止めたと報じた。アメリカ自由人権協会(ACLU)のテクノロジーディレクターのジェイ・スタンリーは、フロックが「全米規模で権威主義的監視システムを構築しようとしている」と指摘した。
こうしたプライバシーへの懸念に対し、ラングリーは同社技術が監査可能で透明性があると反論し、同社クノロジーが適切かどうか、そしてカメラが収集するデータをどう扱うかは、民主的に選ばれた個人や団体次第だと主張した。



