かつて提携していた競合アクソンとの対立が激化
フロックの新たな事業拡大は、競合企業Axon Enterprise(アクソン・エンタープライズ)がナンバープレート読取装置の対抗製品を発表した今年4月に明らかになった。アクソンは、テーザー銃で知られる時価総額約590億ドル(約8.4兆円)の上場企業で、かつてフロックと提携関係にあったが、今年2月に両社は決裂した。
アクソンのリック・スミスCEOは当時、フロックが他社製ツールとの互換性を意図的に制限し、顧客を囲い込もうとしていると非難した。これに対してラングリーは、協力関係を断ったのはアクソン側だと主張し、その根拠としてアクソンがフロックとの提携・推奨を取りやめたと主張していた。
フォーブスの取材に対してフロックのラングリーCEOは、市場に欠けていたアクソン競合製品を構築することで、「独占」打破を目指していると語った。彼は、顧客たちの間で「アクソンの独占的な振る舞いに不満を募らせている」と述べた上で、「資本主義の美点は、適切に機能すれば競争を可能にすることだ」と語った。
これに対し、アクソンの広報担当者アレックス・エンゲルは、同社が60社以上の技術パートナーを持つ協調的な企業であり、「顧客に選択肢を与えることや相互運用性、透明性への取り組みを重視している」と反論した。「当社のエコシステムは、顧客が常に自らのデータを所有し管理すべきという信念のもとに構築されている」とエンゲルは述べたが、フロックには触れなかった。
警察向け製品拡充の一環として新ソフトウェア群「Nova」を提供
フロックは警察向け製品の拡充を進めており、ドローンや銃声の検出機に加えて、Nova(ノヴァ)と呼ばれる新しいソフトウェア群を提供している。ノヴァは、警察のデータベースを利用して、容疑者や物件など捜査上重要な要素間の関連性を明らかにするものだ。
フロックは、昨年ひそかに買収したLucidus Tech(ルシダス・テック)との取引で得た技術を基盤にノヴァを開発した。ルシダスは、ノヴァ類似の技術を提供するスタートアップ、Peregrine Technologies(ペレグリン・テクノロジーズ)の元幹部らが共同創業した企業だ。その評価額は25億ドル(約3575億円)だった。
ラングリーによれば、警察はナンバープレート読取装置で得た情報をノヴァに入力し、車両所有者の犯罪歴などを照会できるという。
事業拡大がもたらすコストと、フロックの究極の目標
フロックは、今年初めにアンドリーセン・ホロウィッツが主導した資金調達ラウンドで2億7500万ドル(約393億円)を調達したが、こうした事業拡大は同時に運営コストの大幅な増加も意味する。カメラに監視機能を追加する今回のアップデートによって、アマゾンのAWS上に動画を保存するコストが大幅に上昇する可能性がある。「利用が活発になれば、当社にとってかなり高額な負担となる」とラングリーは述べた上で、「しかし、米国で発生するあらゆる犯罪を解決するという当社の究極の目標に到達できるのなら、それは負担する価値のあるコストだ」と語った。


