ビジネス

2015.08.31

CEOの給料が高い米国企業10社 ヒラ社員の1千倍の企業が続出

Ezio Gutzemberg / Bigstosk

ディスカバリー・コミュニケーションズのCEOデヴィッド・ザスラブは、昨年、1億5610万ドル(約180億円)の報酬を得た。一方で、シルバースプリングにある本社の従業員たち6800人の昨年の賃金の中央値は8万ドル(約973万円)だった。

ザスラブの報酬額はアメリカ証券取引委員会(SEC)の調査資料によるもので、従業員の賃金は求人サイト、グラスドアの資料によるものだ。グラスドアのレポートによると、S&P500の441社の中でCEOと従業員の賃金ギャップが最も大きい企業のトップにザスラブはいることになる。今回の調査対象となったのは、2009年1月1日から2015年8月17日までにグラスドア社が調査した企業だ。

ザスラブは毎年こんな額を貰っているわけではない。この数字には株式報奨金として昨年受け取った1億4400万ドルが含まれている。2015年に彼が受け取る額はぐっと下がる予定だが、それでも社員の平均賃金の400倍にはなると見込まれている。

2位はブリトーのチェーン店を展開するチポトレで、創業者のスティーブ・エルスは社員の賃金1万9000ドル(中央値)の1522倍に当たる2890万ドルを受け取っている。2015年5月、株主の77%はエルスの報酬の多さに異を唱えたが、2006年の新規公開時に22ドルだった同社の株価が716ドルにまで上がったことには満足せざるを得ないだろう。

3位はCVSヘルス。CEOのラリー・メーロは、社員の1192倍に当たる3240万ドルを手にしているが、昨年、チェーン展開しているドラッグストアでたばこの販売を中止したことで賞賛を得てもいる。

マイクロソフトは14位だが、実はCEOのサティア・ナデラの報酬額は8430万ドルで、ザスラブに次ぐ2位につけている。ただグラスドアに報告された社員の賃金の中央値が13万7000ドルと比較的高いので、彼の賃金はその615倍となり、ギャップは小さめなのだ。

68位につけたヤフーのマリッサ・メイヤーは、今回のリストに載った女性CEOの中で最高額の4210万ドルを手にしている。グラスドアによればヤフー社員の昨年の賃金の中央値は13万7011ドルで、マリッサの報酬はその307倍にあたる。

フェイスブックは437位で、昨年ザッカーバーグが手にしたのは61 万ドル。14万6120ドルと報告された社員の賃金の中央値の4倍でしかない。だが、COOのシェリル・サンドバーグは1550万ドルの報酬を得ている。

2年後にはCEOと社員の賃金差について我々はもっと正確に知ることができるだろう。SECの新しいルールによって、企業はCEOの報酬が社員の平均賃金のどのくらいにあたるのかを公開しなければならなくなるからだ。

なぜCEOに驚くほどの報酬が、それもストックオプションのような形で支払われるのか? それは会社に利益をもたらす有能な人材を得るためには、そうすることが必要だと思われているからだ。だが、ユタ大学のビジネススクールの教授らの研究によると、CEOたちの報酬が多くなると、その後3年間にわたって会社の業績は悪化するという結果も出ている。

下記にCEOの賃金と社員の給料の格差が大きい企業を、賃金の開きの順に掲載した。(データは社名、CEO名、CEOの報酬額、社員の賃金の中央値との差の順)

1位:ディスカバリー・コミュニケーション
デヴィッド・ザスラブ/1億5610万ドル
1951倍

2位:チポトレ
スティーブ・エルス/2890万ドル
1522倍

3位:CVSヘルス
ラリー・メーロ/3240万ドル
1192倍

4位:ウォルマート
ダグ・マクミロン/2560万ドル
1133倍

5位:ターゲット
ブライアン・コーネル/2820万ドル
939倍

6位:CBSコーポレーション
レスリー・ムーンべス/5720万ドル
862倍

7位:ベッド・バス・アンド・ビヨンド
スティーブ・タマレス/1910万ドル
734倍

8位:メーシーズ
テリー・ラングレン/1650万ドル
724倍

9位:Gap
グレン・マーフィー/1610万ドル
705倍

10位:スターバックス
ハワード・シュルツ/2150万ドル
669倍

翻訳編集=速水由美

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