リーダーシップ

2025.06.30 11:00

2025年はAIリーダーシップ元年、AIリテラシーこそ企業が求める最重要スキル

itakayuki / Getty Images

リーダーにとってのAIリテラシー、AIリーダーシップスキルとは

AIリテラシーとは技術的なスキルやAIプロンプトの微調整のことだけではない。リーダーやリーダーを目指す人にとっては、雇用主が採用や昇進の決定において重視している、形勢を一変させる以下の3つの能力のことだ。

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1. AIについて戦略的に考える

AIがビジネスにどのような影響を及ぼし得るかを理解する必要がある。これは、AIを強化することでどの作業・工程が最も恩恵を受けられるのかを見極め、AI導入を成功させるために何が必要かを理解し、実際のビジネス成果に基づいてAIソリューションを評価できることを意味する。

傑出したリーダーは、すぐに価値をもたらす即効性のあるAIツールと、長期的な投資に向いたAIツールとを区別できる。既存のプロセスを自動化するタイミングと、仕事の進め方を再構築するタイミングを知っている。将来のリーダーと、競争に遅れないためにAIアプリケーションを導入するだけのリーダーの違いはこのような戦略的な思考にある。

2. リスクと倫理を管理する

AIリテラシーとは、うまくいかない可能性と、それをどう防ぐかを理解することだ。データのプライバシーやアルゴリズムの偏り、AIの意思決定が顧客や従業員に与える広範な影響などに関する懸念に対処できるよう備えておかなければならない。ハーバード・ビジネス・リサーチは「AIファーストのリーダーシップ」について、技術的な可能性と戦略的な成果を結びつける一方で、AIを人間の能力に取って代わるものとしてではなく、人間の能力を強化するツールとして扱うことだと説明している。

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これは、組織内でのAI活用法のガイドラインの作成、物事がうまくいかなかった場合に備えたプロトコルの策定、そして透明性の確保を意味する。つまりイノベーションと責任のバランスを取ることに他ならず、これが雇用主がリーダーに切実に求めていることだ。

3. 変化を通して導く

AIリテラシーのあるリーダーは、AI導入を成功させるために人々の考え方や働き方を変える必要があることを認識している。米国では属する組織が明確なAI戦略を伝えていると考えている従業員ははわずか15%に過ぎず、これはリーダーが埋めなければならない深いコミュニケーションギャップがあることを示している。

この点で優れているリーダーは、AIが人間に取って代わるのではなく、いかに人間の能力を強化するかをチームが理解できるようにする。また従業員が安心してAIツールを試し、質問したり懸念を表明したりできる場を設けている。そして最も重要なこととして、AIがどのように業績を向上させるかを単に伝えるのではなく、自分自身が使って示す。

AIリテラシーが採用と昇進に及ぼす影響

雇用主はAIリテラシーを採用や昇進の決め手にしている。LinkedInのデータでは、10人中8人のリーダーが、経験は豊富だがAIに習熟していない人よりも、AIツールを難なく扱える人を採用する傾向にあることが明らかになっている。

LinkedInのダン・シャペロ最高執行責任者(COO)は、「AIを受け入れ、テクノロジーに関心を持ち、日々の仕事に活用している人は属している企業の将来のリーダーと見なされるだろう」と話す。AIの使用に関する質問が採用面接の定番になりつつあり、採用担当者は候補者が日々のワークフローにAIを組み込んでいることを確認しようとしている。

しかし、キャリアへの影響は単に採用や昇進にとどまらない。AIリテラシーは現在、LinkedInで目にする全職種において、雇用主が求めるリーダーシップスキルの中で最も需要の高いもののひとつとなっており、経営陣はビジネス変革を進める能力としてAIを最も重視している。

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翻訳=溝口慈子

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