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2025.07.04 16:15

52万部ヒットの『妻のトリセツ』に学ぶ、家庭の平和と子育ての裏黄金律

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息子の思春期に妻の心を取り戻そう

息子がいる家庭の場合は、この女性脳を慰撫する役目を息子が引き受ける。幼い頃は「ママが一番きれい」「ママが一番好き」と毎日のように言い、少し大きくなれば重い荷物を持ち、そして、成長しても、息子は基本的に母親に優しい。

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だからといって、夫が息子に妻のお守りを任せきりにするべきではない。息子が思春期になったら、その役目は夫の手に取り戻そう。そうでないと、息子は自立できないこともある。

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また、息子が妻に反抗した場合は「俺の大切な妻に、そんな暴言は許さん!」と毅然と言おう。息子の暴言を見て見ぬふりをする父親は、軽蔑されても尊敬されることはない。何よりも、子どもたちに対して「妻が一番大切だ」と宣言することは、妻の心に響く。このひとことがあれば、一生夫と寄り添っていけるという妻も少なくない。

また、こういう夫であれば、必然的に妻も夫を大切にし、何かにつけて夫を立てるようになる(はず)。これが、息子にとって大きな意味を持つ。

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あなたは息子が目標にできる「行き先」になれるか

生まれつき空間認識力が高い男性脳は、距離や位置関係の把握に敏感だ。その昔、地図も標識もGPSもない時代に、荒野に狩りに出て、再び洞窟に戻ってこられたのは、見渡す限りの空間を、目印となる木や山、星などとの位置関係から瞬時に測り、一気に把握する能力を持っていたからだ。その力は、今の男性脳にも受け継がれている。

男の子は、生後8カ月でおよそ3メートルの鳥瞰(上から見下ろす仮想目線)があるといわれている。8カ月といえば、まだハイハイの頃だ。その時点ですでに男性脳は、3メートル上空から自分のいる場所を眺めるような仮想目線で世の中を把握している。8畳間くらいのリビングなら、その全体のかたちや、置いてあるものの位置関係を把握し、自分が全体の中のどこにいるのかを意識しながら遊んでいる。

小学生になれば、公園を真上から見た、滑り台が展開図になっているような構図で絵を描く男児もいる。まるでドローンで撮影したような絵を、何も見ないで描いてしまうのだ。ひいては、メカを組み立て、高層ビルを建てて、飛行機のみならずロケットも飛ばしてしまう。

日常からかけ離れた世界観を摑むのにも同様の能力を使う。世界経済を語りながら、宇宙に想いを馳せるのが男性脳だ。

このように、空間認識力が高く、ものの位置関係に敏感な男性脳は、人間同士の位置関係、すなわち序列にも敏感だ。誰が上か下かが気になるから、それを無視した行為は、非常に不快に感じるようにできている。

序列が気になり、常に目的地を目指す男性脳は、自分の行く先の立場がどういう状態なのかを観察している。「行く先」の素晴らしさの提示は、男性脳のモチベーションを上げる大事な要素なのである。
これは家庭の中でも同様だ。勉強を頑張り、必死に働いた挙げ句、妻にないがしろにされている父親が「行き先」では、息子は道に迷ってしまう。妻から「家で一番偉いのはお父さん」と言われる父親がいてこそ、息子はモチベーションが上がり、自我を確立していける。

とはいえ、ふだんは妻をいい加減に扱っていながら、急に息子のために俺を立てろと言っても「ハイハイ」と言う妻はいない。何があっても妻の味方でいる。この一貫した姿勢が妻の信頼を勝ち取り、結果、娘と息子の未来を幸せにする。

『妻のトリセツ』(黒川伊保子著、講談社刊)
『妻のトリセツ』(黒川伊保子著、講談社刊)

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