サイエンス

2025.06.29 17:00

1971年から燃え続ける「地獄の門」、炎が消える日は近い

Shutterstock.com

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トルクメニスタンの首都アシガバートで2025年6月初めに開催された、炭化水素資源に関する国際会議「TESC2025(トルクメニスタンエネルギー科学会議)」で、科学者のイリーナ・ルリョヴァは、「トルクメニスタン国内にある『地獄の門』では、地面から噴出するメタンガスが燃焼している炎が徐々に消えつつある」と述べた。

ルリョヴァは、トルクメニスタンの国営エネルギー企業トルクメンガス傘下にある科学研究所の所長だ。

「これまでは、数km離れた場所からでも、燃え上がる炎による煌々とした輝きを目にすることができた。その様子が名前の由来となったこの『地獄の門』は、今では、炎がかすかに燃えているだけになった」と同氏はいう。

2022年1月、前トルクメニスタン大統領のグルバングル・ベルドイムハメドフは国営テレビに出演し、「地獄の門」を閉鎖する予定だと発表した。

「地獄の門」は、首都アシガバートから北に260kmほど離れたカラクム砂漠の中央にある、巨大な天然ガスのクレーターだ。同大統領は閉鎖の理由として、環境汚染や健康被害の懸念に加えて、「貴重な天然資源」が失われていることを挙げていた。

公式な記録が存在しないため、あくまでも伝えられる話ではあるが、クレーターができたのは1971年だ。ソ連(トルクメニスタンは当時、ソ連に属していた)が掘削しているさなかに、ガスの空洞に突き当たって掘削リグが崩落し、周辺の地面が陥没した。そこで、有害なガスの拡散を防ごうと火をつけ、完全に燃焼させようとした。ところが、可燃性のメタンガスが大量に蓄えられていたため、陥没してできたクレーターはそれ以降、ひたすら燃え続け、時間とともに拡大していったとされている。

このクレーターは現在、直径およそ70m、深さおよそ20mに達している。とりわけ夜間に多くの人が訪れる人気の観光地になっている。正式名称は「カラクムの輝き」で、近隣のダルバザ村に由来した「ダルバザの穴」という名称もあるが、オンラインなどではもっぱら「地獄の門」あるいは「地獄への入り口」と呼ばれている。音を立てて沸騰する泥や、クレーター内のいたるところで赤い炎が燃え盛っている様子が、地獄を連想させるからだ。

人気の観光地になっている地獄の門(velirina / Shutterstock.com)
人気の観光地になっている地獄の門(velirina / Shutterstock.com)

これまで何度か、クレーターを岩石などの瓦礫で埋めて消火しようとしたが、失敗に終わった。ルリョヴァによれば、今はクレーターの周辺に、メタンガスを抜くための井戸が多数掘られているという。メタンガスをうまく制御しながら放出し、炎の燃料となっているガスを遮断することが目的だ。

トルクメニスタンは、天然ガス地下埋蔵量が世界4位でパキスタンや中国、インド、イラン、ロシアなどへ輸出している。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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