サイエンス

2025.06.29 14:00

地球全体が凍結した「スノーボールアース」を生命はどのようにして生き延びたか

氷に覆われたスノーボールアース(全球凍結)状態の惑星を描いた想像図(ESO)

生息していたのはシアノバクテリア(藍藻)、原核生物、単細胞の光合成生物など、細胞核や他の細胞小器官を持たない微生物だ。最古のシアノバクテリアに似た化石は、30億年以上前に地球上に出現したものだ。これら太古からの微生物は地上で最も過酷な環境の一部で生き延びていることが知られているが、真核生物(細胞核とその他の膜結合細胞小器官を進化させた複雑な生物)もまた、同様に過酷な環境を生き延びることができたかどうかを知りたいと、研究チームは考えた。化学分析の結果は、真核生物と明らかに関連する様々な分子が存在することを示していた。

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また、融氷水溜りがどのような種類の生物を育むことができるかに、塩分濃度が重要な役割を果たしていることを、研究チームは発見した。すなわち、より汽水性が強く、塩分濃度の高い水溜りほど、生息する生物群集は類似性がより高くなる一方、より淡水に近い塩分濃度の低い水溜りのものとは異なっていた。クリオコナイトホールの中に堆積する砂塵や岩屑はゆっくりと崩壊し、生命に必要な塩を含むミネラルを供給しており、この微小生態系の氷の内壁を覆う微生物マットに生息するシアノバクテリアや他の光合成生物は、太陽光をエネルギー源とする。

フセインは「生物群集は水溜りによってそれぞれ異なっていた」として「同じ顔触れの生物が何度も登場するが、それぞれ存在量が異なっている。さらに、調査対象としたすべての水溜りの主要な群集のすべてで、多様な真核生物群が見つかった。この真核生物は、6億年以上前のスノーボールアースを生き延びた真核生物の子孫だ。このことは、全球凍結期の融氷水溜りが氷上のオアシスとして機能した可能性があることを浮き彫りにしている。融氷水溜りが真核生物を育んだことが、その後の時代に人類を含む複雑な生命の多様化と急増を可能にしたのだ」と説明した。

クライオジェニアン紀には、氷に覆われた海からの蒸発がまったく起こらなかったため、地球大気中の雲量はほぼゼロだった可能性が高い。氷上の微生物群集を存続させるための太陽光が豊富に降り注いでいたのだ。

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クライオジェニアン紀の末期には氷が融解し、凍結していた大陸が徐々に暖かくなり、栄養分を豊富に含む融氷水が地表に溢れた。生命のいない当時の海が、生き残った生物に新たな生息場所とチャンスを与え、真核微生物が進化の大幅な後押しを受けたことが、その後の1億年間における複雑な多細胞生物の出現につながった。

今回の論文「Biosignatures of diverse eukaryotic life from a Snowball Earth analogue environment in Antarctica」は学術誌Nature Communicationsに掲載された。

追加資料とインタビューはMIT Newsから提供された。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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