サイエンス

2025.06.29 14:00

地球全体が凍結した「スノーボールアース」を生命はどのようにして生き延びたか

氷に覆われたスノーボールアース(全球凍結)状態の惑星を描いた想像図(ESO)

氷に覆われたスノーボールアース(全球凍結)状態の惑星を描いた想像図(ESO)

約7億~6億3500万年前の地質時代のクライオジェニアン紀に、地球は超氷河期に見舞われ、両極から赤道までの地球全体が凍結した。この全球凍結「スノーボールアース」を生命がどのようにして生き延びたかは、科学者の間で長年の疑問となっている。表面の大部分が氷で覆われたため、太陽光がほぼ海洋に届かなかった上、凍結した大陸では風化がまったく起こらないため、海に押し流される栄養分もなかった。おそらく氷の下の深海底にある熱水噴出孔が、生命の生き残りのために最後に残された場所となったかもしれない。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)地球大気惑星科学部、英ロンドンの自然史博物館、ニュージーランド・ワイカト大学などの研究者チームが行った最新の研究では、もう1つ別のシナリオを提案している。

今回の研究をまとめた論文の筆頭執筆者で、MITの大学院生のファティマ・フセインは「研究チームは地球の複雑な生命の出発点を理解することに興味がある。クライオジェニアン紀の前後に真核生物が存在した証拠が化石記録で確認されているが、その間にどこに生息していた可能性があるかに関する直接的な証拠はほとんどない」として「この謎の大部分を占める、生命が生き延びたことはわかっている。どこで、どのようにして生き延びたかを、研究チームは解明しようとしているだけだ」と説明している。

生命は表面にある水のオアシスで繁栄し、全球凍結を生き延びた可能性があることを、研究チームは明らかにした。

同様の環境条件が、現在もまだクリオコナイトホール(氷河で見られる小さな水溜り)内に存在する。氷河によって表面に運ばれた、黒っぽい色をした砂塵や岩屑が太陽光を吸収して温まり、氷を融解させて小さなくぼみや穴を形成する。温度は0度前後のため、この融氷水の水溜りは初期の生命体にとって生息可能な環境となった可能性がある。

南極大陸のテイラー氷河の表面にあるクリオコナイトホール(Peter Rejcek/USAP)
南極大陸のテイラー氷河の表面にあるクリオコナイトホール(Peter Rejcek/USAP)

研究チームは、南極のマクマード棚氷に位置するさまざまなクリオコナイトホールと融氷水溜りから採取したサンプルを分析した。今回の調査を行ったのは、英探検家ロバート・スコットによる1903年の南極遠征の隊員が初めて「汚れた氷」と表現した領域だ。研究チームはすべての水溜りで明らかな生命の痕跡を発見した。さらに驚くべきことには、水溜りによって異なる生物群集が生息しており、生物多様性に富んでいることが明らかになった。

次ページ > 全球凍結を生き延びた真核生物の子孫

翻訳=河原稔

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事