働き方

2025.07.02 06:15

汗で仕事のパフォーマンスが3割ダウン、夏のジャケット事情

Getty Images

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環境省がクールビズを推奨するも、ビジネスパーソンにはどうしても真夏にジャケットを着用しなければならない、というか着用したほうがいいかなと思うシチュエーションがある。しかし真夏のジャケット着用は、熱中症だけでなく、仕事のパフォーマンスを3割も低下させてしまう危険性をはらんでいる。

化粧品メーカーのマンダムは、20〜59歳の男女1000人を対象に、汗の悩みに関するアンケート調査を実施した。それによると、6〜9月の夏場に、ビジネス、就職、転職などの大切な場面でジャケットや「きちんとした服」を着用する人は、それぞれ約5割と約6割にのぼることがわかった。とくに20代の若い人たちは、就活もあるせいかジャケットの着用率が高い。

夏場のジャケット着用で困るのは汗だ。大事な場面で汗によるトラブルを経験した人は全体の約6割。体臭で相手に悪印象を与えないか不安、汗だくになった、服に汗の染みがついたなどトラブルの内容はさまざまだ。

しかし、もっと深刻なトラブルがある。それはパフォーマンスの低下だ。汗が気になってパフォーマンスが低下したと感じる経験をした人は全体の約8割。どの程度に落ちたかを聞くと、だいたい7割が中央値といったところ。つまり約3割の低下だ。これは馬鹿にならない。

なぜジャケットを着ているとパフォーマンスが落ちるのか、作家で心理学者の晴香葉子氏はこう説明している。人間の脳の認知的な処理を行う部分は容量が決まっていて、そこに2つの解決課題が同時に持ち込まれると双方のパフォーマンスが低下するというのだ。汗の不安という解決課題と仕事の解決課題が混在すると、処理容量の取り合いになる。これを「二重課題干渉」という。そうなると、仕事の頭がうまく働かず、自信のない人だと相手に思わせたり、不安感が助長されてしまったりする。大切なのは心の余裕ということだ。

なにもそこまでして無理に着なくてもいいのにと思ってしまう。おそらく会う相手もそう思っているに違いない。でも、なんとなく着ないと相手に失礼かと不安に思う気持ちもわかる。気になるなら、「今日は暑いのでジャケットなしで失礼します」と一言断るというのはどうだろう。それをダメという人はいないはずだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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