食&酒

2025.06.29 14:15

極上のシャンパーニュ「サロン」 パリの二つ星シェフは何を合わせる?

シャンパーニュの石灰質土壌の地下カーヴを思い起こさせる、白で統一された静謐さを感じる空間。奥にあるキッチンも整然とし、無駄が省かれシンプルに美しい。ここは、エッフェル塔の絶景が望めるパリのトロカデロ広場からほど近い場所にある、佐藤伸一シェフが2023年にオープンした「レストラン・ブラン」だ。

今年発表されたミシュランガイドで、二つ星を獲得したことでも注目を浴びた。本人は「(かつて取得していた二つ星に)戻っただけです」と笑顔で言う。

シェフがペアリングを考えたら

料理とワインを上手にペアリングすることで、食体験はぐっと豊かになる。ソムリエが料理に合わせてワインペアリングを提供するレストランも注目を集めている。基本的には、料理にワインをあわせるスタイルだ。では逆に、ワインを軸として、シェフにそのワインから想像される料理を作ってもらったら、これもまたユニークな体験を創り出せるのではないだろうか。

ワインのなかでも、シャンパーニュは様々な料理との相性が良く、アペリティフとしてのみならず、食事を通して料理に合わせて楽しむことができる万能なドリンクだ。そこで、シャンパーニュのなかでも最高峰の異なるスタイルのものを2つ選び、パリで活躍する2人のシェフに、そのシャンパーニュから想像される料理を提案してもらった。

まずは、レストラン・ブランの佐藤氏が、シャンパーニュのブラン・ド・ブランの頂点、「サロン」の新ヴィンテージ2015に合わせて考案した一品を、サロンの社長を長年務めるディディエ・ドゥポン氏の解説とともに、紹介したい。

究極のブラン・ド・ブラン、「サロン」

シャンパーニュ地方で、最良のシャルドネが育つ場所として名高いのが、コート・デ・ブランと呼ばれる地域だ。フランス語で「白い丘」を意味する名を持つこの地域は、シャンパーニュ特有の石灰質土壌が特徴で、この地で育つシャルドネからは、繊細で力強く、洗練されたワインが生まれる。

コート・デ・ブランにある村々のなかでも、最も石灰質が豊富だとされ、シャープで長期熟成可能性を持つワインを生み出すことで有名なのが、メニル・シュール・オジェ村だ。この村を拠点とし、この村のシャルドネのみから造られるのが、シャンパーニュのブラン・ド・ブラン(白ブドウのみから造る白ワイン)の最良の一つと名高い「サロン」だ。

サロンは、ウジェーヌ=エメ・サロン氏のヴィジョンのもと1920年に設立されたブランドで、最初のヴィンテージは1905年にまで遡る。当時シャンパーニュでは異例だった、単一ヴィンテージで、単一村からの単一のブドウ品種で、最高のオリジナルシャンパーニュを造り出すという夢を実現させた。

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文=島 悠里 写真=シャンパーニュ・サロン提供

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