経営・戦略

2025.06.25 15:00

ウーバーが「データラベリング」事業を拡大、世界30カ国以上で展開中

Tada Images / Shutterstock.com

現在30カ国以上で展開、「数万人規模」のタスカー(作業者)、50社以上の法人顧客を抱える

ウーバーによると、同社のラベリング部門は現在30カ国以上で展開されており、昨年11月時点の初期5市場(米国、カナダ、インドなど)から大幅に拡大したという。プラットフォーム上のクリックワーカー数については、今年の年初からほぼ倍増させたそうだ。

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ネットワーク全体のタスカー(作業者)の数は非公開だが、イエサドカによれば、STEMやコーディング、法律といった各分野ごとに「数万人規模」が稼働しているという。最も熱心なクリックワーカーは1日に3〜4時間作業しており、時給は作業内容の複雑さに応じて最低20ドル(約2900円)から最高で200ドル(約2万9000円)に達する場合もあるという。

この部門はすでに50社以上の法人顧客を抱えており、その中には自動運転企業のオーロラや、最近ゲーム事業から離れてエンタープライズAIへと舵を切った『ポケモンGO』の開発元ナイアンティックも含まれている。

Scale AIの空白を埋めるため、さまざまな競合が次のチャンスを狙う

ウーバーの同事業の拡大は、スケールAIとメタの提携がデータラベリング業界を揺るがす中で行われている。この提携の一環として、スケールAI創業者兼CEOのアレックス・ワンはメタに移籍し、新設された「スーパーインテリジエンスラボ」部門の指揮を執る計画だ。この部門は、OpenAIやAnthropic(アンスロピック)、グーグルなど資金力のある最先端のAIラボを競合に見据えている。

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「現在多くの企業が、データパートナー戦略を再考しようとしているのは明らかだ」とイエサドカは述べ、「中立的で公平なベンダー」を求める動きが広がっていると指摘した。

このような動きを背景として、ユニコーン企業Mercor(メルコア)、Turing(チューリング)、新興企業Invisible Technologies(インビジブルテクノロジーズ)といった小規模な競合が次のチャンスを狙っている。しかしイエサドカは、ウーバーが競合他社と一線を画すのは、その規模とリソースの大きさにあると主張する。「この分野の多くの企業は、小規模でベンチャーキャピタルの資金に依存している」と彼女は述べている。

またイエサドカによると、時価総額が1750億ドル(約25.3兆円)で、昨年の売上が439億ドル(約6.4兆円)に達したウーバーは、長期的に安定した取り組みが行えるという(ただし、同社は、データラベリング部門の収益を開示していない)。他の企業が単なるサービス提供会社にとどまる一方で、ウーバーは自社プロダクトを送り出してきた歴史があり、それが顧客との協業時に異なる視点をもたらすとイエサドカは主張する。「私たちは、この事業を意味のあるビジネスラインに育てられると考えている」。

さらにスケールAIも、メタとの取引の以前からウーバーのことを意識していた。「この分野にはチャンスが満ちている。私たちの事業の価値を、より多くの人が理解し始めており、それがウーバーのような企業がこの分野に参入したいと考えた理由だ」と、スケールAIのクリックワーカー向けプラットフォームOutlier(アウトライアー)を統括する、シャオテ・ジューが今年初めのフォーブスの取材に述べていた。

データラベリングは、より高度なスキルが求められる方向に進化

とはいえ、この分野でどこの企業が勝者となるかはまだ分からない。「データアノテーション(データラベリング)は、より高度なスキルが求められる方向へと進化している」と、評価額20億ドル(約2900億円)のMercor CEO、ブレンダン・フーディはフォーブスに語った。「ウーバーの成功は、どれだけ効果的に高度なスキルを持つ人材ネットワークを構築できるかにかかっている」。

ウーバーの過去が影を落とす懸念

さらにウーバーには、過去に規制当局との対立や契約ドライバーの待遇をめぐる批判を受けてきた経緯があり、それがデータラベリング分野の取り組みに影を落とす懸念もある。しかしイエサドカは、それが顧客の信頼を損なうことにはつながらないと主張し、「私たちはデータの機密性やセキュリティ管理において常に『正しいことをする』姿勢を貫いており、それはこの新しい事業にも変わらず受け継がれている」と語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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