経営・戦略

2025.06.26 11:30

繁栄するウォルマートと低迷するターゲット、命運を分けたのは「創業者のDNA」

Mario Tama/Getty Images

Mario Tama/Getty Images

現代における小売業の歴史は、しばしば、創業者の歴史でもある。

そのため、伝説的な成功を収めた企業の多くは、人間の創業者よりも長生きする、魂や基本原則を持っていると言えるかもしれない。そして、企業がその魂を失ったり、基本原則から外れたりすれば、多くの場合、その代償を支払うことになる。

例えば、マクドナルドを世界的な企業へと成長させた功績はレイ・クロックにあるが、黄金のアーチを象ったロゴを考え出したのは、創業者であるリチャードとモーリスのマクドナルド兄弟であり、彼らの経営効率への執着は、今日でも同社の経営における指針であり続けている。2000年代初頭にマクドナルドがサラダやグルメサンドイッチを導入しようとしたとき、顧客はそれを良くは思わず、株価は暴落し、その株価が回復するまでには3年を要した。

低迷するディスカウント・デパートのTarget(ターゲット)は、魂を失ったブランドの最新の例である。

1962年、同社の創業における中心人物は、米国中西部の人気高級百貨店チェーン、デイトンズの創業者の孫であるダグラス・デイトンだった。ターゲットは、「流行とディスカウントの融合」を目指したディスカウントストアとしてスタートした。

的を象った同社のロゴは、「的を射る」、つまり品質と価格のスイートスポットを表していた。

このアプローチは非常に上手く機能し、1990年代には顧客から「Tar-jay(ター・ジェイ)」という洒落たフランス語風の愛称で呼ばれるまでになった。

しかし1995年、拡大を続けるウォルマートのスーパーセンターに対抗するため、ターゲットは大型店舗に食料品売り場を増設し始めた。それは、ターゲットがそのルーツから逸脱し始めた瞬間だった。

ターゲットには、食品ビジネスのDNAがない。食料品ビジネスは薄利多売のビジネスであり、卵やパンのような日用品のマーケティングに、シックであるか魅力的であるかは関係ない。ターゲットは、ウォルマートとターゲットの両方の特性を兼ね備えた存在になろうとしてしまったのだ。

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翻訳=江津拓哉

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