欧州

2025.06.25 09:30

ロシアのシャヘド自爆ドローン、ジェットエンジンやAI搭載型も出現 迎撃の難易度上がる

ウクライナの首都キーウで2025年6月17日、ロシアのミサイルとドローン(無人機)による攻撃後、崩壊した住宅から遺体を運び出す救助隊員(Oleksii Samsonov/Global Images Ukraine via Getty Images)

新たな戦術

ロシアは並行して、攻撃ドローンの戦術も変えている。以前説明したように、シャヘドは当初、レーダーを避けるために低高度で侵入し、ときには川沿いの谷間を飛行していた。だが現在は、対空銃砲の射程に入らないように高高度で飛んできて、目標に接近してから急降下するようになっている。この戦術には最近、さらにひとひねり加えられているようだ。

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ウクライナの軍事評論家アレクサンドル・コバレンコはオンライン紙オデーサ・ジャーナルへの寄稿で、最近のシャヘドは降下中にいったん空中にとどまると解説している。

「現在、ドローンはまず高度1000mくらいまで降下してきて、機体を安定させ、それから急降下を始めることが多い。高度2500mから一気に急降下する場合は命中精度が著しく低下するのに対して、1000mからなら誤差がロシア側の許容範囲内に収まるからだろう」(コバレンコ)

残念ながら、この変更によって迎撃が容易になるわけではない。

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「この安定化フェーズは短く、その間に、(重機関銃の)DShKやブローニングM2を装備した機動部隊が自爆ドローンを確実に撃ち落とすのは不可能だ」とコバレンコは書いている。

また、シャヘドはこれまで、防空側を欺くための一回り小さいデコイ(おとり)ドローンと混ぜて使われてきたが、ロシアとの国境に近い一部地域では、おとりではなく別のタイプの攻撃ドローンが随伴する場合もある。

前出の防空部隊指揮官は「シャヘドの編隊はしょっちゅうランセット(自爆ドローン)とペアで飛行していて、ランセットは攻撃可能な範囲に入れば防空部隊を攻撃してきます。主に(北東部の)スーミ方面とハルキウ方面で顕著です」と説明している。防空部隊は「ランセットにとって優先目標になっている」という。

ランセットはシャヘドよりも小型の徘徊型兵器である。機首に搭載するカメラを通じて、操縦士は地上の目標、普通は戦車や大砲の位置を特定し、攻撃できる。最大航続距離は以前には40km程度と推定されていた。飛べるのがこれくらいの距離なら、シャヘドの攻撃の支援に当たることができるのは国境地帯に限られるのかもしれない。とはいえ、ランセットが存在するだけで、地上の機動防空部隊は従来よりもはるかに大きな危険にさらされることになる。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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