ピストンエンジンのシャヘドが時速190km程度なのに対し、ジェットエンジンのシャヘドは時速480kmくらいの速度が出るかもしれない。いずれにせよ従来型よりもはるかに高速なので、警告のための時間は短くなり、撃墜自体も難しくなる。飛翔時の音もかなり違う。プロペラ推進型のシャヘドは芝刈り機あるいはモペッド(ペダル付きバイク)のような音をたてるが、ジェット推進型のシャヘドはかん高い音を発する。6月18日に撮影された動画に捉えられているのはジェット推進型シャヘドとみられ、その音も記録されている。
Ukraine did nothing to deserve this - Europe has learned zero lessons despite two world wars pic.twitter.com/QLciGAUkyt
— Caolan (@CaolanReports) June 18, 2025
ターボジェット型シャヘドはおそらく従来型よりもかなり高価で、量産も難しくなると考えられるので、高性能型と低コスト型の併用という運用になるかもしれない。防空側の対処は一段と複雑になりそうだ。
ハードウェア面の改良はほかにもある。真偽は未確認だが、ウクライナでシャヘドの撃墜を任務とするある機動防空部隊の指揮官によると、一部のシャヘドには装甲が施されるようになっているという。
アナリストのRoyがテレグラムの投稿を翻訳して紹介しているところでは、指揮官は「ロシアは最近、シャヘドのエンジン格納部を装甲板で保護し始め、燃料タンクも翼から胴体内に移しています。そのため現在は翼を撃ち抜くだけでは不十分で、エルロン(補助翼)かエンジンに命中させる必要があります」と述べている。
ジェットエンジン、装甲に加え、3つ目の改良として、シャヘドは商用AI(人工知能)プロセッサーで動作するカメラ・マシンビジョンシステムも搭載するようになっている。この装置は最近回収された撃墜後の残骸から発見された。こうしたシステムの搭載もかねて噂されていたが、ウクライナの電子戦専門家セルヒー・「フレシュ(フラッシュ)」・ベスクレストノウが6月18日、自身のテレグラムチャンネルに画像付きで詳しい情報を投稿し、事実と確認された。
このシステムによって、画像に基づく視覚ナビゲーションが可能になっているとみられる。だとすれば、これまでシャヘドの弱点だった衛星ナビゲーション依存から脱したことになる。ウクライナ空軍の発表に基づくアナリストの集計によると、5月には飛来したシャヘドの36%が航法システムに対する電波妨害で落とされた。もっとも、視覚ナビゲーションを安定して機能させるのは簡単ではなく、ドイツ政府が先ごろこの分野の技術チャレンジの募集を開始したほどだ。もしロシアが実用化に成功したのであれば、シャヘドはジャミング耐性を備え、突破率が大幅に上昇するおそれがある。


