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2025.06.29 12:00

AIと科学が導く6つの前兆 「学び」と「好奇心」で切り拓く新たなルネサンス

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5. メンタルヘルス、創造性と目的意識

テクノロジーの分野における進歩を超えて、人間社会の文化に関しても重大なシフトが進行中だ。その特徴は、メンタルヘルスや個人のウェルビーイング、人間の意識の探究に、さらなる目が向けられている点にある。

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近年、サイケデリックセラピー(幻覚作用を持つドラッグを用いるセラピー)への関心が再燃している。それも、依存症やPTSDの治療だけでなく、創造性を強化し、より深い自己理解への道を切り開く可能性を生かそうとするものだ。

人類が集団的に、自分の内面に目を向けるこの傾向は、人々のあいだで広まりつつある認識を反映したものだ。つまり、AIなどのテクノロジーの活用にはメンタルヘルスの問題がついて回り、「パーパス(人生の目的)の喪失」という問題に対処する新たな選択肢が必要となっている、という認識のことだ。

実験的なセラピーに関する調査研究が進むなかで、幻覚などを引き起こす薬物が、新たな「レンズ」を提供するかもしれない。そしてこの「レンズ」を通じて、人間が持つ可能性やウェルビーイングをのぞき込むことで、この新時代にふさわしい、より包括的で統合された繁栄がもたらされるかもしれない。

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これと同時に、AIが多様な分野に関して、映画やアートなどの分野に関する費用などの参入の壁を引き下げ、人々が創造性を発揮するのに役立つことも期待される。創作活動を支援するために作られたAIツールは、これまでであれば実現できないことも多かった、新たな創造性の形を切り開くことだろう。

6. 分野の垣根を超えたコラボレーションが、新たな「スーパーパワー」を創出する

かつてのルネサンスでは、レオナルド・ダ・ヴィンチのような幅広い分野に才能を持つ人物が、芸術、工学や解剖学の知識に想像力を融合させて大きな成果を挙げた。

芸術家、発明家、科学者として活躍したダ・ヴィンチは、ルネサンス期における垣根を超えた融合を体現する人物だった。ボストン科学博物館が指摘するように、彼の知的好奇心の対象は驚くほど広く、「解剖学、動物学、植物学、地質学、光学、航空力学、流体力学」などの分野が含まれていた。例えば、解剖学に関する彼の研究は、人体の科学的理解の進展に役立っただけでなく、ダ・ヴィンチが描いた作品の人体の描写にも、直接的な影響を与えた。

今日では、3Dモデリング、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)などの領域で、芸術と科学、技術の交差を見ることができる。コロンビア大学芸術学部で非常勤アシスタントプロフェッサーを務めるナット・メスナードは、授業の中で学生に対し、ノンフィクションの著作物を、インタラクティブなビデオゲームのスタイルを借りた体験へと変貌させる方法を教えている。これは、デジタルツールを用いて、芸術的表現の新たな形を創出する手法を示すものだ。

2024年7月に発表された、OpenAIとThrive Global(スライブ・グローバル)によるヘルスコーチ企業の立ち上げは、神経科学とAI、ウェルネスの分野を統合し、デジタルアシスタントをメンタルヘルスのサポートに役立てる方法について、その可能性を探るものだ。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の集合知研究センター(Center for Collective Intelligence)は、行動科学、コンピューターサイエンス、組織理論から得られた知見を融合し、人間とマシンの両方が関わる、よりスマートなチームの構築を目指している。

ベンチャーキャピタルの世界も、こうしたトレンドを反映している。a16zやLux Capital(ラックス・キャピタル)などの投資会社は、ディープテック(社会課題の解決を目指す先端技術)やヘルスケア、暗号技術、メディアなどの分野に広く資金を投じている。その背景にあるのは、こうしたテクノロジーの意外な組み合わせから、明日のブレイクスルーが生まれるという認識だ。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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