企業の経理部門は、帳簿、給与計算、決算、税務申告などなどお金の管理に関するあらゆる業務を引き受けるところだが、その知見を活かして経営上の金銭的な無駄を省くことも大切な役割だ。そこで通信費や水道光熱費などの一括請求サービス「Gi通信」「OneVoice公共」を提供するインボイスは、企業の経理担当者425人を対象にコスト削減に関するアンケート調査を行った。そしてわかったのは、もっともコスト削減効果が高かった科目は接待交際費で、会議費と旅費交通費がそれに続くという結果だった。

お得意さんを立ち飲み屋に連れて行くわけにいかず、接待はどうしても高くなる。これには接待ゴルフなどの娯楽も含まれるが、これまた高額だ。必要なことだと当事者は言うだろうが、当人も会社のお金で遊んでいるわけで、釈然としない部分がある。会議費も曖昧な経費だ。上司が部下を連れて食事に行き、「今日は会議費で落とすぞ!」「バンザーイ!」なんて光景をよく目にする。
こうした部分をバッサリ切ることで、大きなコスト削減効果が得られたということだ。だから、経理はみんなから嫌われる辛い仕事でもある。経理担当に、コスト削減で難しいことは何かと尋ねると、やっぱり「社内調整が大変」がダントツでトップとなった。平たく言えば、猛烈な抵抗に遭うということだろう。次に多いのが「運用人材がいない」、「忙しく手がつけられない」、「削減額と実行の手間が合わない」という人手不足に関係する問題だ。

人を増やすのが難しいならば、業務を効率化するしかない。その方向性は、コスト削減の取り組みとして予定していることに関する質問の回答に表れた。上位にあげられたのが、社内資料のペーパーレス化、請求書や帳票のペーパーレス化、ワークフローの電子化などだった。DXによるコスト最適化に大きな期待が寄せられていることが見て取れる。

3位にあげられた節水と節電は意外な感じだ。コスト削減効果が高かった科目では下位だったが、経理担当者の目からすると大きな課題なのだろう。省エネ設備の導入よりも上位にあるというのが、経理担当者のリアルな感覚なのだと察せられる。
この調査結果を受け、ITインフラの再構築により「業務のやり方そのものを見直してコスト最適化を図ろうとする動きが広がっている」とインボイスは分析している。だが、DXによりコスト削減と過重労働からの解放が実現されたとしても、経理担当者が会議費の請求書をニコニコ顔で受け取ってくれるようになるかは、定かではない。



