新たな大規模言語モデルを生む起業家
一方、中国からは大規模言語モデル(LLM)の開発に取り組む2人が選ばれた。
2023年にガオ・ハイチュアン(28)が設立した北京千訣科技(Beijing Qianjue Technology)は、ロボットの頭脳として機能するLLMを開発している。このモデルは、ロボットが周囲の環境を認識し、音声による指示に応答できるようにする。千訣科技は、Innoangel FundやRivercity Investmentなどから非公開の金額の資金を調達している。ガオは清華大学で、自動化工学の博士号を取得している。
さらに、2024年にチェン・ユアンペイ(23)が共同創業した灵初智能(PsiBot)も、複数のロボットアームの複雑な動作を可能にするAIモデルを開発している。PsiBotは昨年、GL VenturesおよびLanchi Venturesから非公開の額の資金を調達した。華南理工大学で工学の学士号を取得しチェンは、北京大学とスタンフォード大学で客員研究員を務め、スタンフォード大学においては「AIのゴッドマザー」と呼ばれるフェイフェイ・リーの指導を受けていた。
AIを活用したサービス
一方、AIを活用して消費者や企業向けのさまざまなサービスを提供する起業家たちもいる。
ジャッキー・コー(28)とダニエル・パーマー(29)、ダニエル・ヴァシレフ(28)らは、企業が独自のAIツールをノーコードで構築できるツールを開発するためにRelevance AI(レリバンスAI)を共同創業した。同社のオンラインプラットフォームを使えば、企業はLLMをカスタマイズしてメールの応答やデータ分析などのタスクを自動化できる。シドニーとサンフランシスコに拠点を構える同社は、2023年12月に1500万豪ドル(約14億2000万円)のシリーズA資金を調達した。高校時代からの友人だったヴァシレフとコーは、大学でパーマーと出会い、3人で同社を立ち上げた。
2021年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の博士号取得者であるクリスチャン・ラウ(28)とヴァイクンス・ムグンタン(29)によって共同創業されたDynamo AI(ダイナモAI)は、AIプログラムのテストを行い、潜在的なリスクを特定したり、モデルが機密情報にアクセスするのを防いだりするソフトウェアを提供している。インドと米国に拠点を置く同社は、中国のPC大手のレノボやアイルランドのExperianなどを顧客としている。Dynamo AIは、これまでにNexus Venture PartnersやYコンビネータなどから3000万ドル(約43億6000万円)を調達している。


