寝台列車の復活は、この10年ほどの間に欧州の鉄道で最も注目に値する展開の1つだった。最近発表された新規事業者の参入は、この分野において大いなる進展となる可能性がある。ドイツ・ベルリンに本拠を置く新興企業のNox Mobility(ノックス・モビリティ)は、欧州で夜間寝台列車の運行を2027年に開始する計画を掲げ、この事業に参入すると発表した。同社の計画が斬新なのは、列車が1人用または2人用の個室という設定で設計されていることだ。Noxではその客室を(列車の客室として一般的な「コンパートメント」ではなく)「ルーム」と呼んでいる。
筆者はこの新しい寝台列車の発生について、10月に刊行される自著『100 Train Journeys of a Lifetime: The World’s Ultimate Rides(人生における列車の旅100:世界の究極の乗り物)』(ナショナルジオグラフィック)で触れている。1人または2人という少人数専用の客室を提供することは多大な優位性となる。料金が手頃であることも同様だ。
現在、欧州で寝台列車を利用するほとんどの旅行者は、数少ないシングルルームを予約しない限り、4床以上の寝台が備わる1室の客室を共同で使用しなければならない。4人以上の友人や家族と一緒に旅行するのでもない限り、見知らぬ人と相部屋になるわけだ。Noxは、リラックスした観光や仕事場としても使える洒落たデザインの客室を用意し、一人旅をする人やカップルに選択肢を提供する。



