経済

2025.06.24 08:00

ホルムズ海峡封鎖で原油価格さらに30%上昇も、米ゴールドマン

sokanae sawatdinak / Shutterstock.com

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米金融大手ゴールドマン・サックスは、米国の攻撃を受けたイランが報復として世界のエネルギー供給ルートの要所であるホルムズ海峡の封鎖に踏み切った場合、原油価格は数年来の高値に達する可能性があると警告している。

原油価格の代表的な指標(ベンチマーク)であるブレント原油価格は、米国によるイラン攻撃後、初の取引となった23日の午前10時(米東部時間)には1バレル77ドルと横ばいだった。

ここ2週間でブレント価格は15%上昇しているが、さらなる上昇圧力がかかる可能性があると、ゴールドマンは顧客向けのメモで警告した。

ゴールドマンは、イランがホルムズ海峡の封鎖に動き、同海峡を通過する原油量が少なくとも1カ月間半減した場合、ブレント原油価格は1バレル110ドル超まで急騰する可能性があるとみている。

1バレル110ドルというのは23日の高値をさらに30%上回り、2022年7月以来の水準となる。2022年にはロシアのウクライナ侵攻を受けて、米国などが原油生産量が世界第3位のロシアからの原油を制裁対象にしたため原油価格が上昇した。

ホルムズ海峡はペルシャ湾と外洋を結ぶ唯一の航路だ。石油を輸出する中東地域にとって重要なルートであり、米エネルギー省によると、2024年には世界の石油消費量の約20%に相当する量がホルムズ海峡ルートで運ばれた。「ホルムズ海峡が封鎖された場合、同海峡に代わって石油を運ぶルートはほぼない」とエネルギー省は16日付の分析で指摘している。

イラン国営メディアは、米国の攻撃を受けてイラン国会がホルムズ海峡の封鎖を承認したと報じた。ロイター通信によると、少なくとも2隻の超大型石油タンカーが23日に同海峡付近で引き返した。イランは世界第9位の産油国だが、米国に次ぐ産油国であるサウジアラビアが輸出する原油の約半分が通過するホルムズ海峡に近いという地の利から中東のエネルギーに対して大きな影響力を持っている。

原油価格の上昇はインフレ率上昇を招く可能性がある。米銀大手JPモルガン・チェースのエコノミストらは先週、ブレント価格が今夏75ドル超で推移すると、世界の消費者物価指数(CPI)が2%上昇するとの見方を示した。関税によるインフレ上昇が危惧されている米国にとって、エネルギー価格上昇の見通しは懸念材料だ。

ドナルド・トランプ米大統領は23日、SNSへの投稿で石油企業を牽制した。「石油価格を抑えろ。私は見ている!敵の思うつぼだ。石油価格を上げるな!」

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forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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