2. 比較の罠を仕掛ける
ドライ・ベギングを特定するもう1つの方法は、あなた自身が頻繁に比較の罠にはまっていることに気づくことだ。相手が、あなたは抱えている困難が少なく、優れており、協力的な人であることを常にほのめかすときなどだ。
このようなコメントは、「助けがあるといいに違いない」「こんな人がいたらいいのに」といった自己憐憫や無造作な観察に見せかけたものであることが多い。
こうしたときのナルシストの意図は、自分には欠けているものがあるとさりげなく言い表しつつ、その一方で、自分が楽になるために、あるいは相手のリソースを最小限に抑えるために、自分が対処すべき感情面での義務を相手に転嫁することにある。
あなたはナルシストの相手から直接頼まれなくとも、そのアンバランスさを修正するように促されていると感じることすらあるかもしれない。
専門誌『International Journal of Psychology(インターナショナル・ジャーナル・オブ・サイコロジー)』に2024年に掲載された研究では、他人と自分を比較することが、特にナルシストの特徴を持つ人の行動にどのような影響を与えるかを探っている。研究は700人以上の大学生を対象に行われた。
研究では、他人と自分を比べれば比べるほど、自分が不当に扱われていると感じたり、取り残されていると感じたりする傾向が強まることが明らかになった。また、このような「自分は恵まれていない」という感情が、他の人の感情を操作するような行動につながることが多いこともわかった。
このパターンは、潜在型のナルシストで最も顕著だった。こうした人は、外見上は物静かあるいは繊細に見えても、実は強い承認欲求や支配したいという気持ちを抱えている。
このような人は、他人が支援を受けているのを見ると、傷ついたり自分は不当な扱いを受けていると感じたりするほか、他人にそのことで罪悪感を抱かせようとしがちだった。
3. 点数付けで罪悪感を誘う
ナルシストは往々にして、恋愛関係において強い権利意識を持っている。この権利意識は、ドライ・ベギングを通じて微妙かつ感情的な形で現れることがある。
点数付けは、その典型的な例だ。
ナルシストは明確に求める代わりに、あなたのためにしてきたことやいかに自分を犠牲にしてきたか、見返りを求めてこなかったことを、あなたに思い出させるかもしれない。
ナルシストは、あなたがナルシストに借りがあると信じ込み、その借りを返さないことで負い目や罪悪感を感じたり、自分はわがままだと思うように仕向ける。そうして、あなたに好意を要求する。
2025年2月の研究によると、ナルシズムを抱える人は権利意識が強いことが多く、それが公平さの捉え方を歪めてしまうことがあるという。
研究では働く人150人を調査し、ナルシストは職場での自分の貢献を過大評価する傾向があり、これにより実際にはそうでなくても自分は不当に扱われていると感じることがわかった。
この誇張された自己価値と権利意識により、自分は素晴らしい人間なのだから見返りがあって然るべき、という考え方が強まる。
恋愛関係において「点数付け」したり、感情的負債をでっち上げたりするこの考え方は、ナルシストが支配を確立し、もろい自己肯定感を保つための方法だ。


