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2025.06.23 17:00

イランによるホルムズ海峡封鎖が困難と考えられる3つの理由

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こうした動きは、そもそも実行に移す前の段階で阻止される可能性もある。というのも、第5艦隊のもとで少なくとも4つの合同任務部隊が日常的にペルシャ湾やホルムズ海峡をパトロールしており、その哨戒活動でイラン側による奇襲の芽はつまれる可能性があるからだ。

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第二に、ホルムズ海峡の封鎖はイランにとって自滅的なものである。なぜなら、そうすればイラン自体の原油輸出にも影響が出るのは必至だからだ。欧州の調査会社ケプラーによると、イランは原油・コンデンセートを日量平均165万バレル輸出している。

国際的な制裁を受けているイランのエネルギー輸出の大部分(およそ9割)は、割引価格で中国に輸出されている。ついでに言えば、イラン産に限らず、ホルムズ海峡を通過するすべてのエネルギー輸出の半分超が中国向けだ。

中国は世界最大の石油・ガス輸入国である。仮にイランがホルムズ海峡の海上封鎖に踏み切ったとしても、イラン産原油の最大の買い手である中国からの圧力を受けて、封鎖の維持はきわめて困難になることが予想される。

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第三に、一時的であれホルムズ海峡が封鎖された場合も、以前に比べると影響は限定される。なぜなら、そうされてもすべての中東産原油の輸出が停止するわけではないからだ。主要な輸出国であるサウジアラビアやUAEは、代替の輸送ルートとして陸上パイプラインを活用できる。

サウジアラビアの場合、最大で日量510万バレルを「東西パイプライン」経由で輸送し、紅海沿岸から積み出すことが可能だ。もっともこのルートは現在、イエメンでイランの支援を受ける反政府勢力フーシ派による攻撃にさらされている。

UAEは、はるかに対処しやすい立場にある。2012年に稼働を開始したアブダビ─フジャイラ間のパイプラインは、日量150万バレルの輸送能力を持つ。終点のフジャイラ港を擁するフジャイラ首長国は、UAEを構成する7首長国の中で唯一、イランから遮断をたびたび脅されてきたペルシャ湾でなく、オマーン湾だけに面している。ホルムズ海峡を迂回できるフジャイラ港からは、必要に応じてUAE産原油の最大75%近くを積み出せる。

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