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2025.06.23 17:00

イランによるホルムズ海峡封鎖が困難と考えられる3つの理由

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米国はイスラエルを支援するかたちでイランの核施設を現地時間22日未明に攻撃し、イスラエル・イラン紛争に介入した。これを受けてイラン国内では、ペルシャ湾からオマーン湾、その先へ向かう石油・ガス海上輸送の大動脈であるホルムズ海峡の封鎖を含め、報復を求める声がさらに高まっている。

米国のピート・ヘグセス国防長官とダン・ケイン統合参謀本部議長は22日の記者会見で、米軍が地下貫通弾「バンカーバスター」14発などでイラン中部のフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの核施設を攻撃したことを確認した。イラン側は報復を誓い、国会ではホルムズ海峡の封鎖が承認された。ただし、最終的な判断は国家安全保障最高評議会に委ねられる。

紛争がさらに激化し、ホルムズ海峡の物流が阻害される事態になれば、すでに前月比で20%上昇している原油価格は一段と高騰すると予想される。市場でイランによるホルムズ海峡の報復封鎖をめぐる臆測がひっきりなしに飛び交っているのは、この海峡を通過する石油・ガスの量を考えれば無理もない。

海運情報を提供する英ロイズ・リスト・インテリジェンスなどによれば、世界で取引される原油のおよそ3割、液化天然ガス(LNG)の2割、液化石油ガス(LPG)の3割がホルムズ海峡を通過している。このうち、原油はサウジアラビア、クウェート、イラク、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)から、LNGは主にカタールから出荷されている。

合計では原油換算で、日量約3000万~3300万バレルに相当する。この数字には、世界供給量全体の2割ほどに相当する原油・石油製品約2100万バレルが含まれる。はたしてイランは実際に、ホルムズ海峡の封鎖を試みるだろうか。それは可能なのか。結論から言えば、短期間の封鎖はたしかに可能だろうが、イランが実際に封鎖に踏み切るとは考えにくい。以下に理由を説明する。

封鎖の可能性が低く、実行されても長続きしそうにない理由

まず第一に、イランがホルムズ海峡の封鎖を試みれば、ほぼ即座に米国から海軍戦力と航空戦力による反撃を招くだろう。ドナルド・トランプ米大統領が黙って封鎖を許す可能性は低い。イランの海岸線やすべての港湾は、圧倒的に優勢な米国の空・海軍の攻撃にさらされることになる。近隣のバーレーンには、米海軍の第5艦隊が司令部を置く。

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