──どのようなきっかけで、オリンピアの改修事業に関わることになったのですか?
ブレグジット(英国の欧州連合からの離脱)を巡る不満が噴出し始めた2015年、私たちは意思決定プロセスについて見直すため、大量のデータを読み込みました。そのとき、運営に関わることを強く意識した上で、不動産に投資すべきであるとの考えに至りました。そして、ロンドンのような国際的な都市で、人々が働き、学び、暮らし、遊ぶための最善の環境を作り出すことができるプロジェクトを探し始めたのです。
──アダプティブユース(適応型再利用)や保護・保存を目的とした再開発など、ロンドンでは数多くのプロジェクトが進行中です。それらとオリンピアには、どのような違いがあるのでしょう?
「共著者」たちがいる(複数のパートナーとの共同事業である)ことです。オリンピアに関して、私たちには劇場、ライブ音楽エンターテインメント、レストラン、ホテル、イベント、展示会、教育の分野での素晴らしいパートナーたちがいます。
オフィススペースにも、テナントというパートナーがいます。彼らの成功を、サポートしたいと考えています。
──ロンドンのような都市にとって、オリンピアのように歴史に刻まれた施設を維持することは、どのような意味で重要なのでしょうか?
およそ2000年の歴史があるロンドンは、今も世界で最もエキサイティングな都市の一つです。それは、ロンドンが常に進化し、自らを改革し続けているからです。そして、ロンドンがその歴史資産をそれぞれの時代に適応させているからでもあります。開業した140年近く前、最先端の施設だったオリンピアは今また、次世代の人たちが楽しむことができる施設に生まれ変わろうとしているのです。
──エンターテインメントがオンラインで楽しめるようになった現在も、こうした文化的な取り組みへの投資は欠かせないものですか?
私たちが調査した重要なデータの一つが、デジタルエンターテインメントの急速な普及に関するものでした。
私たちは、ライブでの体験、直接的な体験、つまり、デジタルメディアでは不可能な体験こそ、質を高めていくべきものだという反循環的な仮説を立てました。そうなれば、人々は外出することや他者と一緒にいること、そのとき、その瞬間に、その場でしか体験できないことを切望するだろうと確信していました。
新型コロナウイルスの世界的な流行が始まってから約5年がたった今、振り返ってみると、私たちはこの間、まさにそのダイナミクスが展開されるのを目の当たりにしてきました。
私たちは今後も、これらの分野への投資を続けます。舞台芸術やライブエンターテインメントは、人々の体験において非常に重要なものだと考えているからです。


