キャリア・教育

2025.06.26 12:00

ティーン起業家の実践で知る、AI主導の経済で問われる「真のリテラシー」

Witthaya Prasongsin / Getty Images

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米国の高校生たちは代数やエッセイ執筆を習得して卒業するが、産業を一変させているテクノロジーについて理解しないまま社会に出ている。人工知能(AI)はカスタマーサービスのチャットボットから医療診断まであらゆる分野を支えているが、多くの高校ではAIリテラシーを「選択科目」扱いするか、もしくはまったく取り上げていない。

この教育ギャップは、労働市場に参入する若者に深刻な不利をもたらす。AIリテラシーは数学・科学・英語(国語)と同様に、現代社会を生き抜くための基礎科目として教えられるべきだ。この基盤がなければ、学生は将来のキャリアを規定するテクノロジーを理解し活用する重要な機会を逃すことになる。

学校が今すぐAIリテラシーを教えるべき理由

数字が改革の緊急性を示している。マッキンゼーによれば、生成AIは世界経済に年間2.6兆〜4.4兆ドル(約374.4兆〜633.6兆円。1ドル=144円換算)の影響をもたらす可能性がある。AI導入に成功した企業では、従業員全体の業績が最大40%向上している。それほどの経済的インパクトがありながら、多くの生徒は基本的なAIリテラシーを身につけずに卒業している。

この教育上の見落としは現実的な悪影響を招いている。若者はAIの可能性を直感的に理解しているものの、効果的かつ倫理的に活用するための体系的な学習が欠けているのだ。

AIリテラシーを無視する学校は、生徒に不利益を与えている。1990年代にコンピューターリテラシーが必須となったように、AIリテラシーは職業的成功に欠かせなくなりつつある。教育機関はAI教育を選択科目や付け足しではなく、カリキュラムの中核に組み込まねばならない。

これには単にAIツールを教室で許可する以上のことが必要だ。学校は資格のある講師を雇用するか、AI教育専門家と提携して包括的なトレーニングプログラムを開発する必要がある。彼らは、AIが各科目でどのように使用されるか、生徒がどのような倫理的ガイドラインに従うべきか、そしてAI教育がより広い学習目標とどう整合するかを概説するAI使用計画を作成しなければならない。教育者自身も、それを一貫して効果的に実装するために、学校のAI計画に関する徹底的なトレーニングが必要だ。保護者と生徒は、どのAIツールが使用承認されているか、学校がAI主導の未来に向けて生徒をどう教育する計画なのかを含めて、これらの方針について透明性を求める権利がある。

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翻訳=酒匂寛

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