ビザを待つ医師たちの声
「私のビザ申請は承認されたが、まだ審査プロセスの途中で発行されていない」と、サウジアラビアに住むイエメン出身医師はアルアラナに語ったという。「この禁止令によって、夢を失いたくない。奨学金でサウジアラビアの医大に通った私は、家族で初めて医師になるつもりでいる」。
ビザの面接を待っている医師のひとりに、ロシアのサンクトペテルブルク国立小児医科大学で学んだ、カザフスタン出身のアルトゥル・ポレクシュクがいる。彼と婚約者は、共にウェストバージニア州のレジデンシープログラムへの参加を認められたが、どちらも6月24日の開始日までに渡米できなかった。
「その病院の1年目の研修医9人のなかで米国生まれの医師はふたりのみで、他の7人はすべて海外医大の卒業生だった」と語るポレクシュクによると、そのうちの半分が入国禁止令によって渡米できなかったという。NRMPのデータによると、今年ウェストバージニア州で研修を始める新米医師の27%は、外国生まれの海外医大の卒業生だった。
また、カリブ海地域の医大を卒業したインド在住のレジデンンシー希望者は、ミシガン州の病院で3年次と4年次の臨床実習を終えていた。彼は、7月1日にオハイオ州の病院でレジデンシーを始める予定だったが、移民審査官は、彼が米国に永住する意図を持っていると判断してJ-1ビザを却下したという。彼はその理由がよく理解できないものの、米国での実習経験がレジデンシー獲得には有利に働いた一方で、ビザの審査には不利に働いたのではないかと考えている。
「彼らが最も聞きたがったのは、私がなぜ米国に渡航したかという点だった。私はカリキュラムの一環で、米国で74週間の臨床実習を行う必要があると説明したが、その答えが納得のいくものではなかったのかもしれない」と彼は語る(カリブ海地域の医科大学には米国内の医大に入れなかった米国籍の学生が多く、これら医大は、米国で臨床実習が受けられることをセールスポイントのひとつとしている)。
将来の不透明感と支援の動き
NRMPは、レジデンシープログラムに対して、プログラムの開始時期の先送りや、ビザの取得が間に合わない卒業生の受け入れを、来年度に変更することを検討するよう呼びかけている。
またNRMPと、海外の医大卒業生のビザ取得を支援する委員会(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)は、国務省に対し、渡航禁止措置の対象から医師を除外することを求めている。国務省は、フォーブスからのこの件についてのコメント要請に応じなかった。
一方、カザフスタン出身のポレクシュクは、彼のプログラムの病院は、とても協力的だと語る。「彼らは、できる限り待つと言ってくれていて、私たちは感謝している。病院側も、この禁止措置に本当にショックを受けていて、彼らとしても大変な状況に直面している」と彼は続けた。


