磁気リコネクションの解明
6月3日に発表された研究論文によれば、パーカー・ソーラー・プローブの太陽フライバイ中に得られたデータから、太陽コロナ内での高エネルギー粒子の新たな発生源が明らかになったという。「磁気リコネクション」(磁力線の再結合)と呼ばれるこのメカニズムは、太陽大気を加熱し、太陽風の粒子を加速させる。これは、引き延ばされた磁力線が弾けるように千切れ、つなぎ変わる際に磁気エネルギーを爆発的に開放する現象で、太陽フレア(太陽面爆発)やコロナ質量放出(CME)など、太陽活動に伴う大規模現象の発生に関与している。
論文の筆頭著者で米テキサス州サンアントニオにあるサウスウエスト研究所(SwRI)に所属するミヒル・デサイ博士は、「磁気リコネクションが地球近傍でどのような挙動を示すかはこれまでにも観測されてきたが、今回のパーカー・ソーラー・プローブの観測により、非常に強い磁場をもつ太陽近傍でいかに強力な磁気リコネクションが起こっているかがわかった」と述べている。
パーカー・ソーラー・プローブの不確かな未来
最後の超近接通過を終えた探査機の今後はというと、どこへも行かない。パーカー・ソーラー・プローブは現在の軌道に閉じ込められたまま、太陽の周りを回り続ける。これ以上太陽に近づくこともない。太陽にここまで近づけたのは、金星の重力を利用して加速と軌道変更を行うスイングバイを繰り返した結果であり、金星の軌道の内側に入ってしまった今はその機会も失われた。
科学ニュースサイトLiveScienceによると、パーカー・ソーラー・プローブはいずれ燃料を使い果たして燃え尽きるが、耐熱シールドは数千年にわたり軌道上に残る可能性があるという。


