ルール4:スピード、フィードバック、適応性を向上させる方向で設計する
硬直は、イノベーションの敵だ。高い主体性を持つイノベーターはスピードを重視し、多くのフィードバックと方向転換を当然のことと考える。
LinkedIn(リンクトイン)を創業したリード・ホフマンと、同プラットフォームの初期のころを例にとってみよう。ホフマンは、有名な言葉を残している。「最初の製品を恥ずかしく感じないのであれば、その発表は遅すぎた」というものだ。高い主体性を持つ思考者は、まず製品を公開し、評価、改良し、それを繰り返す。彼らは、確実性を待つことはしない。なぜなら、明確さは行動から生まれることを知っているからだ。
WebflowやBubbleといったノーコードプラットフォーム、自動化ツール「Zapier」や、OpenAIの「GPT API」といったAIインテグレーションにより、個人でも、ワークフローやサイト、サービスをほぼ瞬時に作成し、立ち上げることができる。
組織的な抵抗が、短期的な障害になることがある。多くの企業は依然として、自主性よりも順応性を重視している。しかしコントロールに固執することは、イノベーションに必要な行動そのものを阻害する。
アクションステップ:「テストと学習」のサイクルを優先させよう。スピードと、改善の繰り返しを評価しよう。顧客からのフィードバックループだけでなく、部門横断的なチーム、さらにはAIシミュレーションからのフィードバックループを構築しよう。
ルール5:ツールを組み合わせて効果を増幅させる
高い主体性を持つイノベーターは、単にツールを使うだけでなく、それらを創造的に組み合わせている。
アレックス・ホルモジ(ジム再生・ライセンス事業を成功させた後、複数の企業を立ち上げた起業家・投資家)や、レニー・ラチツキー(元Airbnbのグロース担当、投資家、作家、ポッドキャストのホスト)のようなクリエイター起業家を見てみよう。AI、コンテンツプラットフォーム、自動化を駆使して存在感を10倍に拡大し、メディア帝国とスケーラブルなビジネスを築き上げた起業家たちだ。
ChatGPTを使うことがすべてではない。ChatGPTをZapierと組み合わせてメールキャンペーンを自動化し、Notion AIでワークフローを管理し、Midjourney(テキストから画像を作成する生成AI)やRunway(画像・動画・音声などの生成AIプラットフォーム)でコンテンツを作成し、Descript(AI搭載のマルチメディア編集ツール)でメディアを制作するといった具合だ。アイデアを持つ人間が1人いれば、これらすべてを調整、指揮できる。
規模が大きくなるにつれて、優位性はさらに拡大する。ツールを組み合わせる方法を知っている人と、知らない人の格差は急速に拡大している。AIツールが急増するにつれて、スキルギャップはさらに拡大するだろう。ツールをワークフローに統合・構成する能力が、「高い主体性を持つ新しいエリート」の定義になる。
アクションステップ:社内AIスタックを、役割に合わせて再構成しよう。従業員がツールチェーンを共有する「ワークフロー・ハッカソン」を開催しよう。ツールに関するリテラシーを、従来のスキルアップと同様に評価しよう。


